
中森 俊介 (明石商)
- 寸評
- 2019年、中森 俊介を見てきていろいろ課題はあるが、世代ナンバーワンピッチャーだろう。速球、変化球の精度の高さ、ボールの出し入れのうまさ。その点は誰よりもずば抜けている。ただ中森はアスリートとして発展途上で、それが成熟してきたら、どんな投手になるのか、わくわくさせる投手なのだ。
(投球内容)
ストレート 最速147キロ~151キロ
常時130キロ後半~145キロ
スライダー 125キロ前後
スプリット 130キロ前後
カーブ 100キロ前後
チェンジアップ 120キロ前後
好調時は最速140キロ後半が当たり前のように計測するだけではなく、体の底から湧き上がるようなストレートでこれは打てないと思わせるストレートを投げる。
ただ不調になると、140キロ前半でも高めに浮くボール球となり振りぬかれることが多い。
変化球も多彩で、どの球種でも決め球となりうる。特に素晴らしいのは、130キロ中盤も記録することもあるスプリット。高確率で空振りを奪うことができている。
チェンジアップは左打者の外側へ落として、三振を奪うなど投球の引き出しも多い。
ここまでのピッチングを見ると、引き出しも多く、今年の高校生右腕で彼ほどうまい投手はいない。
ほかの投手が大学、プロで身に着ける引き出しをすでに習得している感じだ。そこは一歩先をいっているといえる。
ただ奥川恭伸のような絶対感を感じない。それは投球フォームに課題があることに行き着く。
(投球フォーム)
明石商の狭間監督は中森の投手としての能力を認めながらも、好みではないと語る。それは大投手にありがちな柔軟性を欠く投手であることだ。本人も体が硬いと自覚する。
ワインドアップから始動し、左足でゆったりと足を上げていき、右足の膝を適度に曲げていき、バランスよく足を上げることができている。その後、二塁方向へ送り込んでいきながら、ヒップファーストをとる意識がみられるが、ステップ幅が狭く、軸足の膝があまり乗らず、踵から着地を行う。
中森として角度のあるボールを投げたいと思うが、テークバックの動きを見ると、ひじが上がらず、胸の張りも弱く、横回転気味。
去年ドラフト1位された投手のトップに入った写真を比較しても低い。
ただその動きを目指そうとすると、肩甲骨付近が硬いので、無理に引き延ばそうとすると、故障のリスクが硬くなるため、あえて、狭間監督はテークバックの動きを制限させている。無理なくバックスイングを大きくとれる柔軟性が生まれれば、もっとすごいボールを投げる可能性は秘めている。 - 将来の可能性
- かなり完成された投手であるが、フィジカル、柔軟性に課題を抱えているので、まだまだ伸びしろはある。明石商の環境がそういう課題に気づけて、指摘できる指導者がいるため、まだ中森は化ける可能性は秘めている。
ピッチングはほぼ完成されているので、あとは最善のパフォーマンスを発揮できる準備をすれば、必然的にドラフト1位評価を受ける可能性を持った投手。
ぜひフィジカル面の成長を見せて、化けることを期待したい。 - 情報提供・文:2020.01.05 河嶋 宗一
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