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寸評
「2010年度高校生NO.1右腕!」
今年の高校生NO.1右腕は広陵の有原 航平だ。140キロ台後半をコンスタントに投げる馬力だけではなく、それを自在に投げ分ける制球力、切れ味鋭い変化球、高いゲームメイク能力。聖光学院戦(2010年08月12日)の投球はプロの若手投手とひけをとらないものがあり、間違いなく今年の高校生NO.1と推せる内容を示してくれた。有原航平のラストサマーを取り上げていきたい。
(投球スタイル)
ストレート マックス149キロ
常時140キロ~145キロ
ツーシーム 140キロ前後
スライダー 125キロ前後
カーブ 105キロ前後
チェンジアップ 130キロ前後
縦のスライダー 130キロ前後
ストレートの球威は選抜から際立っていたが、球速はさらにアップ。145キロ前後をコンスタントに叩きだせるまでに速くなった。持っているポテンシャルを最大限に引き出せるようになった。尚且つ、低めに決められる制球力。上から鋭く振れる上で、打者よりにボールを離すことができているので、コントロールが出来ているのだ。ただ気になるのはこれほど威力のあるボールを投げ込むことができているのに、空振りが少ないこと。個人的には開きの早いフォームが当てられやすい要因になっていたと考える。プロを想定するとこのストレートのままではファールで粘られるので、対処できる変化球をあるかということになる。変化球はチェンジアップ、スライダー、カーブ、縦のスライダー、ツーシームと球種は多彩。すべての変化球にキレがあるので、ストレート以外で対処できる変化球は持っている。140キロ台後半の速球を自在にコントロールできる能力があり、尚且つ切れ味鋭い変化球を混ぜていく投手。繰り返すが既に高校生の域を超えている。
(打者の攻め)
・右打者
両サイドに速球、変化球を投げ分けていくスタイル。すべての球種を使いこなすことができており、バリエーションは豊富。今まではストレートとチェンジアップを中心に打ち取っていたが、140キロ台のツーシーム(シュート回転)で打ち取るようになった。両サイドに散らすことができており、攻めは万全だ。
・左打者
両サイドに速球、変化球を投げ分けていくスタイル。バリエーションが豊富で、どの変化球でもストライクが取れる投手で、しっかりと投球を組み立てている。多彩な変化球を投げるが、最後は低めの直球とチェンジアップを決め球にしており、力と技を織り交ぜた投球ができている。
打者に応じてバリエーションを工夫しており、さすが甲子園ベスト4入りした投手を思わせるものがある。プロを想定するとまだ付け入る隙があるが、早めにプロの打者と対戦させて、プロ仕様の投球術を身につけてほしいと思うのは私だけだろうか。多少、ストレートのスピードが落ちても、基本線であるコントロールと変化球のキレさえ失わなければ、大学でもエース格として活躍できる投球ができているのだから。
(投球フォーム)
この投手の投球フォームは外国人のように上体の強さを活かした投球フォーム。上半身で投げているフォームなので、このフォームを好まない人も多いかもしれない。私もその一人だ。ただ彼の投球を見続けてきてわかったことがある。この投手のフォームの良さは軸と目線が全くぶれないことだ。リフトアップに入ったときに軸足がふらつかずにバランスよく立つことができているし、着地して、テークバックを取って、リリースに入るまで目線が全くぶれないので、コントロールが出来ている。リリースを見ていくと打者寄りに離すことができており、球持ちは良いので、器用に変化球が操ることができている。腕の振りは鋭いが、それができているのは下半身が強く、踏み込んだ足がしっかりと着地した状態なので、腕を鋭く振る体勢が取れているからである。彼は完全に上半身主導のフォームをモノにしている。春と変わった点は以前よりも力みがなくなり、ゆったりと足を上げるようになったこと。それにより力むことなく、145キロ前後の速球を投げられるようになった。上半身主導のフォームに苦言を呈す方は多い。ただ私は聖光学院戦の投球フォームは、ようやくこのフォームの理想の状態に到達したのではないかという見方をしている。
このフォームの課題は捻転を使わず、そのまま着地に入るので、投球フォームに間がない。そのためタイミングが取りやすく、同時に開きが早いフォームなので、出所が見易く当てられやすい。今後はこのフォームをベースにして、開きを抑えたフォームに改良していくことになるだろう。
将来の可能性
投手としての完成度、スケールは今年の高校生はNO.1。プロ志望届けを出せば上位24人(2位以内)に入る投手であることは間違いない。大学に進学すれば即、エースとして活躍できるものはあるだろう。だがすぐに活躍できる環境は成長を妨げる要因になる。高いモチベーションを維持しなければ、力が落ちてしまう可能性も否めない。彼が高校時代より成長するためには何を目指して取り組むかが鍵になるだろう。それは高ければ、高いほどいい。彼はそれを目指して練習に取り組める姿勢はある投手なので、大学野球に身を置いたのならば、高い目標を持ってやってほしいと思う。4年後は島袋 洋奨(興南)と共に競合をされるような投手にぜひ育って欲しい。
- 2010 年 10 月
- 2010 年 5 月
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