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卒業生
野田 昇吾

野田 昇吾(鹿児島実)

都道府県:
高校:
学年:
2012 年卒
ポジション:
投手・外野手
投打:
左/左
身長:
167 cm
体重:
64 kg
データ最終更新日:2013年1月24日

寸評

 日本代表の投手陣の中で唯一、夏の甲子園出場経験がなかった野田 昇吾。代表入りする3日前(20日)から調整を始めていき、僅か8日間で戦闘モードに仕上げていった。

 代表初登板のパキスタン戦でアウトをすべてに三振に取るデビューを飾り、圧巻だったのは台湾戦。4回1,2塁のピンチからリリーフとして登場し、二者連続三振で火消しに成功すると、9回一死までロング・リリーフし、吉永健太朗につないだ。もし同点に追い付かれていれば、流れは傾きかけない展開だっただけに彼の好投は日本にとって大きなものになった。

投の主役は吉永 健太朗、打の主役は高橋 周平だったが、野田 昇吾の活躍は日本優勝の陰の立役者といっても過言ではないだろう。上の世界でも活躍が期待される実戦派左腕を取り上げていきたい。

(投球スタイル)
ストレート マックス144キロ
常時135キロ~140キロ
スライダー 120キロ前後
チェンジアップ 120キロ前後
リリーフということもあってペース配分を気にせず全力投球をしていたため常時140キロ前後・144キロを計測。速球の切れは高校生レベルを凌駕しており、大学・社会人の投手と比較しても負けていない。ストレートに関しては私が見た高校生左腕の中ではNO.1だ。キレで勝負する姿は目標とする杉内俊哉に一歩ずつ近づこうとしている。高校時代の杉内ではなく、今の杉内俊哉に。

選抜ではストレートが荒れ球。その荒れ球が嵌って打ち難さを生み出したが、AAAではコントロールが定まり、両サイドへ厳しく突く投球を実現していた。変化球はスライダー、チェンジアップ、カーブを投げている。彼の武器は手元で鋭角に曲がるスライダー。左打者にとっては逃げる軌道に感じ、右打者にとっては膝もとに決まるので打ち辛さを感じただろう。カーブ、チェンジアップはカウント稼ぎの球に使う変化球で、頻度は多くないが、低めに投げ分けて内野ゴロを狙っていく。

(クイックタイム・フィールディング)
クイックは1.1秒~1.2秒前後のクイックと1.3秒~1.4秒前後の足上げを混ぜている。ただリリーフ専念ということでランナーとタイムを気にせずに足上げで投げている割合が多い。
あまり牽制を入れることはない。左投手故に気にしない性分なのだろうか。もう少しランナーへの警戒を高めてほしい。フィールディングの動きは実に良く、ベースカバーも素早く、意識は高い投手だ。

(配球パターン)

・右打者
普段は外角中心にストレート、スライダーの配球であったが、台湾戦では相手打者が内角に弱いことを踏まえて積極的に内角へストレートとスライダーを投げ続けた。クロスファイヤーが台湾の打者の懐を抉り、次々と詰まらせることができていた。選抜からチェックポイントとして外角にシュート、スクリューといった逆方向の変化球の攻めを活用できているかをチェックしたが、相手打者の弱点を踏まえた投球が出来、死球を恐れない度胸の強さを確認できたことは大きな収穫であった。
・左打者
左打者には外角中心にストレート、スライダー、チェンジアップを投げ分ける配球で、バットの芯を外して打たせて取る投球。内角攻めのバリエーションはなかったが、それは上の舞台でも習得できる可能性を感じさせた。


彼の持ち味はなんといっても度胸の強さ。ここぞという時にフルの状態に仕上げて、ねじ伏せることができる度胸の強さは素晴らしい。強靭なスタミナを買って先発タイプであると思っていたが、中継ぎにも適正があるように感じた。常に熱いだけではなく、冷静になって打者の的を絞らせない投球を見せる。

(投球フォーム)

選抜ではワインドアップからの始動だったが、AAAではセットポジションからの始動に変わった。今回はそのまま勢いよく足を上げていくスタイル。これほど勢いよく上げてもバランスよく立つことができている。

右足を二塁方向に送り込んで膝の関節を伸ばし、捻転動作を維持し、踵から着地していく。重心が下がり、お尻もしっかりと落ちて、膝の逃がし方も良いので、縦系の変化球を習得できる素地はあるが、現状はスライダーで武器にしている。

右腕のグラブを斜めに伸ばして開きを抑えていき、ややテークバックを大きめに取って振り出していく。真っ向から振り下ろすオーバーハンドなため、ボールには縦回転がかかっており、尚且つタメが効いた投球フォームなため、縦割れのカーブを投げることができている。最後のフィニッシュでもしっかりと腕を絡めることができており、踏み込み足でぐっと体重が乗って強い力でボールを離すことができている。

小さな体をいっぱいに使った投球フォーム。足上げのバランスの良さ、下半身の使い方も柔軟で、開きも抑えられ、体重移動も滑らか。実戦力が高い投球フォームといえるだろう。

将来の可能性

小柄だが、ストレートの切れ、ハートの強さ、マウンド捌きの上手さには光るモノを感じさせ、大学・社会人の投手と比較しても遜色ないレベルに達した左腕であると評価する。小柄だが、志望届けを出すのならば、指名したいと思わせる内容だった。スケールのある左腕に比べると物足りないかもしれないが、大化けを期待するまでに我慢が必要な素材型左腕よりも既に自分のフォーム、投球スタイルを確立し、あとはプロの打者に対応する術を身につけるだけの野田ならばプロ入りしても、台頭出来る投手ではないだろうか。

卒業後はプロ入りせず、社会人を志望しているようだ、彼のハートの強さは負けられない戦いが続くトーナメント制の社会人野球では大いに活きてくれるであろう。

鹿児島実の杉内 俊哉の同じく社会人野球の道に進む野田 昇吾。ぜひハードな社会人野球で己の実力を磨き、彼に近づく投手に成長してくれることを期待したい。

情報提供・文:2011.09.15  河嶋 宗一

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