金城 グスターボ選手 (豊川)
寸評
セットポジションからゆったりと足を引き上げて、スリークオーターの腕の振りから投げ込まれるストレートは、常時130キロ前後~135キロぐらいでしょうか。ただこの投手の場合は、そのストレートがスライドしたり、シュート回転して沈んだりするクセ球が特徴。これはナチュラルというよりは、意識的に使い分けている感じが致します。 (第一印象) 最初は、回転の好いストレートではないので「うん?」と思いました。ただ冷静なピッチングスタイルで、いろいろ工夫して投げている感じを受けました。力で押すのではなく、微妙に相手の芯をズラして詰まらせるのが身上。その他にも、カーブのような曲がりながら落ちるスライダーと、シンカーのような軽く沈むチェンジアップのような球があり総合力で相手を打ち取ります。 (長所) グラブを最後まで内に抱えられ、おおよそ両サイドにボールを散らせます。足の甲でも深く地面を押し付けているので、ボールもそれほど高めには抜けません。大体はボールを操れるのですが、腕の回旋が体から離れて軌道し、外からブンと腕を振って来る荒っぽさがあります。そのため指先の感覚はイマイチで、細かいコントロールまでは身につけられていません。 (課題) 最大の課題は、「開き」の早いフォームにあります。 ボールが打者からいち早く見えてしまうので、球筋がバレやすい傾向にあります。ただその欠点を、手元で微妙にボールを動かすことで補っているという、興味深い投球をします。 もう一つは、「着地」のタイミングこそ大きく前にステップすることで遅らせることができています。しかし前に大きくステップさせることで、体重が後ろに残り「体重移動」が上手く行きません。そのため打者の手元まで、勢いが落ちないような球が投げられない傾向にあり空振りが奪えません。もう少しステップを緩和させるなど、前に体重が乗ることを意識した方が好いのではないのでしょうか。
更新日時:2012.03.04
将来の可能性
すでに夏の時点でMAXで135キロぐらいまで出ていた感じなので、最後の夏までには140キロを記録することも充分期待できそうです。ただそういった球威・球速を増すことも大事ですが、彼の場合は実戦力で勝負したいタイプ。先にあげたように「開き」の早さや「体重移動」のままらないフォームの改善が求められます。 中々高校生で、ボールを動かせる投手は少ないだけに、面白い存在だとは思います。日本人は、ボールを捉えるのは上手いので、いくら芯を外してもコースが甘ければ、ヒットゾーンにはじき返されてしまいます。ただ彼の場合、そういったことも充分理解して、投球ができているフシがあるので、その辺はあまり心配していません。今後チームメイトの中島 佑斗などと、いかに切磋琢磨して成長してゆくのか。2012年度の、愛知球界の大いなる楽しみになるのではないのでしょうか。
更新日時:2012.03.04
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