李 基成選手 (光星学院)
寸評
光星学院の控え投手として甲子園で2試合に登板。甲子園で最速142キロを計測。ただ速いだけではなく、速球、変化球を丹念に投げ分ける技巧派右腕だ。彼のような投手が、二番手としてスタンバイするのだから、改めてこの年の光星学院の層の厚さを物語っている。 (投球スタイル) 右スリークォーターから投げ込む直球は常時138キロ~142キロを計測。速球の威力は中々のもので、コーナーへ決まった時の速球は素晴らしい。ただコントロールにバラツキが見られ、高めに浮くケースも見られる。 変化球は110キロ前後のカーブ、115キロ前後のスライダー、120キロ前後のチェンジアップ。余裕があるときはテンポ良くストライクを投げて打たせて取っていく投球を見せている。ランナー時の投球の制球力はまだ甘く、決勝戦ではその甘さを突かれて失点を許していた。 クイックは1.3秒前後とそれほど早いクイックが出来る投手ではない。 (投球フォーム) セットポジションから始動する。猫背気味になり、左足の上げ方もただ上げるのではなく、ワンテンポ間を置いた形となっている。右腕は体の近くに置いて隠しており、出所を見難くする工夫が見える。 そこから軸足を折り曲げて重心を下げていき、インステップ気味に着地をする。ゆったりと着地をして、タイミングを外す狙いが見える。重心を下げて、捻りを入れるフォームではないので、縦のカーブ、フォークを習得するのは難しいフォームになり、スライダー、チェンジアップを磨くフォームとなる。事実、彼はスライダーとチェンジアップの2球種で勝負する投手であり、フォームには問題がない。 左肩を下げていき、開いていくが、まだ開きが早く、出所が見やすくなっている。変則派に見えても、この辺りはごまかすことはできていない。サイドスローの腰の回転をしながらも、角度良く振り下ろす。ストレートの球威・球速を生み出すために角度をしていると思うが、あまり角度を付けすぎると腰の回転と腕の振りのバランスが合わなくなるので、自分が腕を振りやすい形で投げることが出来るといいだろう。
更新日時:2012.02.01
将来の可能性
控え投手としての力量は中々で、しっかりと考えながら投球をしているように見える。打ち難さを活かしたフォームで、打者を手玉に取っていく技巧派右腕として台頭することになるだろう。しかし技術的に、課題は多く、本当の意味で嫌らしい技巧派右腕になっていくには、技術的な事をさらに追求していき、完成度を高めていくことだろう。 卒業後は東北福祉大に進む。右の本格派が多いチームで、彼のような投手が行く例は稀だが、彼のような投手が台頭するとバリエーションが出てくるだろう。レベルの高い同僚との激しい競争に勝ち抜き、神宮のマウンドに登ってくれる事を期待したい。
更新日時:2012.02.01
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