漆戸 駿選手 (地球環境)

漆戸 駿

球歴:地球環境

都道府県:長野

ポジション:投手

投打:右 / 右

身長:178.0 cm

体重:75.0 kg

学年:卒業

寸評

 通信制として初の甲子園出場を果たした地球環境。2005年に創部し、2006年4月に塚原青雲で甲子園に導いた羽鳥均氏が就任し、チーム強化を図った。私としては創設間もない地球環境を見ているので、地球環境のユニフォームを着て甲子園でプレーする選手たちを見て、何か感慨深いものがあった。その先頭に立つのがエース・漆戸 駿だ。公式戦12試合を投げて防御率1.21と抜群の安定感を誇った。初の全国舞台では履正社相手に途中まで好投を見せたものの、6回に掴まり、5失点。課題を痛感した選抜だった。 (投球スタイル) ストレート 143キロ 常時135キロ~140キロ カーブ 105キロ前後 スライダー 120キロ前後 チェンジアップ 115キロ前後 テークバックの小さいフォームから140キロを計測する馬力の大きさが売り。偶に嵌った時のストレートの勢いは中々良い。恐らくテークバックを大きく取ったアーム式のフォームならば、145キロを投げられるポテンシャルはありそうだ。  でも投手はスピードを競う種目ではない。打者を打ち取るために様々な工夫を凝らして抑えるものだ。出所を見難くするために今のフォームになったと考えるが、こういう投げ方は俗に言う手投げになりやすく、勢いのないストレートになる。ストレートのコントロールは両サイドに突く事は出来ているが、バラツキが見られる。  変化球はカーブ、スライダー、チェンジアップ。100キロ前後の遅いカーブを使って、緩急を使う意識が高いのか、変化の大きいカーブを使っているが、腕が緩んでしまい、上のレベルではあまり使えないだろう。スライダー、チェンジアップも投じるが、決め球と呼べるほどではなく、あくまで見せ球程度。変化の小さい変化球で、打者の芯を外す投球を身上とする。 まだコントロールは甘いが、丁寧な投球が出来る。その丁寧さが抜群の安定感を支えていると言える。 (クイックタイム・フィールディング・牽制)  クイックタイムは1.2秒。フィールディングの動きは鈍く、キレが悪い。牽制はそれほど入れず、二塁時の目配りがあまりうまくないと思った。 (投球フォーム)  セットポジションから始動する。左足を引き上げた時に、右足をだらっと下げて、隠す動作は岩隈に似ている。左足を三塁方向へ伸ばしていき、重心を下げて着地する。彼のフォームで気になるのは、抽象的な表現になるが、「キレ」がないということ。  打者から出所を見難くするために今のフォームに取りくむのは悪いことではない。動きの小さいフォームから高いレベルの投球を実現するのは、オーソドックスなフォームで投げるよりも数段難しいことなのだ。身体全体を使って投げるオーバーハンドの投手と比べると連動していないので、俗に言う手投げに見えてしまう。今のフォームのままで投げるのならば、もう少し下半身・上半身が連動して、リリース時に勢いのあるフォームで投じていきたい。そうなってくるとストレートのスピード、コントロールが変わってくる。 やや開きが早く、角度もあまりないので、打者からすれば目切りがつけやすく、レベルの高い履正社打線は捉えるのは難しくない。前へ体重が乗れば、もっと球速が伸びるはず…と思うが、動きの小さいフォームからぐっと前へ乗るフィニッシュを実現するのは難しい。プロで活躍するスリークォーター系投手のフォーム全体の動きを参考にして、フィニッシュまで体全体が連動したフォームを築き上げることを期待したい。
更新日時:2012.03.25

将来の可能性

 投手としてのスケールの大きさ、ストレートの球速、投球術は長野県屈指だろう。ただドラフト候補として見ると、ストレートのキレにバラツキが顕著なのは物足りないし、特にキレのある変化球がないので、それほど怖さがない投手。夏の成長によって評価は変わっていくかもしれないが、今のままでは大学経由が望ましいと考える。  夏までの課題としてはストレートの球速でも良いし、ウイニングショットとなる変化球を身につけて、存在感を示すことが必要ではないだろうか。全国レベルの履正社と対戦し、自分の課題を痛感したはず。課題を克服し、夏では一回り大きくなった姿を見せてもらいたい。
更新日時:2012.03.25

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