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上沢 直之

上沢 直之 (専大松戸)

都道府県:
高校:
学年:
2012 年卒
ポジション:
投手
投打:
右/右
身長:
187 cm
体重:
86 kg
データ最終更新日:2011年9月30日

寸評

 今年の千葉県NO.1投手と評価してきたのが専大松戸上沢 直之 だ。2年春から彼の投球に衝撃を受けてから、追いかけ続けてきた。この1年はどんな投手像を目指していたか振り返っていきたい。

(引き出しを増やした春の大会)

 上沢直之の魅力はなんといっても角度のある直球。187センチの長身だけではなく、真上から振り下す角度のある直球は球速では測れない打ち辛さを感じる。この春は角度あるストレートに加えて投げられる変化球を多く確認できた大会であった。昨年まではカーブ、縦のスライダー、スライダーの3球種。春ではこの3球種に加えてカットボール、ツーシーム、フォークも習得し、なんと6球種も投げられるようになった。いずれもストライクが取れて、打ち取れる球種であり、ストレートが走らなくても投球が出来るようになった。

(ストレートの威力向上に取り組んだ夏)
 
春の関東大会を終えて夏までストレートの威力向上に取り組んだ。フォームを若干矯正して臨んだようだ。目に見えて変化した部分はなかったので、千葉明徳戦の投球内容を振りかえることにする。

 立ち上がりの投球を見るとストレートの走りは本来のものではなく、物足りなさを感じた。スピードは135キロ前後で右の本格派投手としては物足りない。フォーム改造に取り組んだが、まだフォームが固まりきらなかった。ベストのストレートを投げる感覚を盛り戻せなかったからスピードが落ちてしまったと考えられる。ただ尻上がりに調子を上げていき、140キロ前後のキレと角度を兼ね備えたストレートが両サイドに決まるようになった。

変化球の制球力は安定しており、縦のスライダー、カーブ、フォークでストライクを取り、追い込んでからストレートで決める。変化球の引き出しを増やしながらも最後はストレートで決める姿勢があるのは良かった。

終盤になるとさらに威力を引きあげていく。隣のスカウトのスピードガンでは最速141キロをガンガン出していた。そのスカウトはスポーツ紙の記者にこう話していた。
「ガンは序盤~中盤と終盤に測りますが、終盤になって最速を出せる底力がある投手を評価しています。上沢君はここにきて凄いストレートを投げているでしょう。ガン表示としてはあまり変わりないように見えますが、この点については高く評価しています」
そのスカウト。鈴木 康平(千葉明徳)の評価も残しているが、評価は対照的で、底力と完成度を含めて高評価するコメントを残していた。ようやくだが、終盤に来て彼本来の力を発揮するようになったのである。彼は春季大会まで冷静を装ったマウンド捌きだった。彼らしくないと思った。習志野戦ではあれほど雄叫びを上げていたのに。しかし千葉明徳戦では違った。8回の表のピンチで空振り三振に取って、二度雄叫びをあげたのだ。ここ一番で燃えられるのが上沢 直之 なのだ。だからこそこの試合は9回で試合を終えて勝たせてあげたかった。180球投げた影響が少なからずあったかもしれない。優勝候補として期待された専大松戸は4回戦で敗れ、甲子園の土を踏めずに終わった。

(投球フォーム)
 
 ノーワインドアップから始動する。左足を真っすぐ上げて右足は一本足で立つ。お尻を一塁側に落としながら、左ひざを伸ばしていく。唐川を意識していることもあって歩幅を広くして、左ひざを上げて間を取って着地しているのは溜めを意識し、タイミングを遅らす意識があるように見える。

左腕のグラブを真っすぐ伸ばして捕手方向に正対させる。制球を意識し、真っすぐ伸ばす意識があるのだろう。テークバックは大きく取る。昨年までは背中側に引きずるようなテークバックだったが、小さくなった。しっかりと内回りをしたテークバックになっている。

そしてリリース。彼の最大の特徴はリリースにある。187センチの長身にしてこれほど振り下し、コントロール良く投げるには軸がしっかりしていないと投げられない。バランスを取るためにスリークォーターにしたり、フォームを小さくすることが多いんだが、彼は全身を目いっぱい使うオーバーハンド。それだけで彼の素質の高さが伺えるものであろう。ただ角度を活かす投球フォームはバランスが崩れ、リリースのタイミングが崩れると制球を乱しやすいフォームである。彼の場合はボールの力を伝えようとリリースを意識しすぎて腕が振れずにコントロールできないことが多い。コントロールを乱すのはそれが原因だろう。本人が理想する直球を投げるために辿りついた答えが一つ。フォームを意識しすぎずシンプルに考え、腕を強く振ること。それを意識したらストレートの勢いが戻ってきた。

彼が良いストレートを投げるポイントとしては軸が安定し、着地のタイミングがぴたりと嵌り、腕が鋭く振れる準備が出来た時だろうか。しっかりと体重が乗った時のストレートは凄まじいものがある。しかし今の彼はそのフォームを継続的に投げられるまでに至っていない。187センチ85キロという高校生離れした体格を誇りながら常時140キロ前後に留まっているのは彼のフォームは完成形ではない。

将来の可能性

 評価を先に述べれば高卒プロタイプ。ドラフト中位が予想されるが、個人的には3位以内で確保したい投手。それぐらい彼を高く評価している。制球力はまだアバウトだが、修正点がはっきりしているので、この課題は克服できると思っている。投球の完成度、投球フォームの完成度、ストレートの威力、変化球の切れ。全てにおいて高い評価が出来る。ここまで素質を高めることが出来たのは意識の高さであろう。

 関東大会で彼と初めて話した時、自分の考えを自分の言葉で話すことができる能力に驚かされた。話す内容だけで彼の意識の高さが伺えた。ストイックに打ちこめる姿勢を貫き通すことが出来れば、プロに進んでからもその素質を開花させることもできるはずであろう。

 将来的には先発投手として活躍できる資質がある。彼の投球フォーム、投球スタイルを見ると中継ぎとしては力を発揮しにくい。あくまで先発として育てていきたい逸材。故障さえなければ1年目の後半から二軍のローテーションを担える可能性がある。まずは長丁場のプロに耐え得る体力を身に付け、継続的に力を発揮する技術を習得し、ペース配分を意識しながら、先発投手としての能力を高めていきたい。

 好投手が数多く存在した今年の千葉県。その中でもNO.1投手は上沢直之であることは間違いない。ぜひプロの舞台で光り輝く存在となってくれることを祈っている。

情報提供・文:2011.09.30  河嶋 宗一

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