大江 駿介選手 (高川学園)

寸評

　[stadium]甲子園[/stadium]の履正社戦では、ドラフト１位候補の寺島成輝（履正社）投手相手に、散々粘りリズムを狂わせることに成功。見事出塁し、得点につなげる活躍を魅せました。 （ここに注目！） 　どんな球でもファールして粘る技術があり、根負けした相手が四球を出します。そこで出塁すればすかさず盗塁を決めるなど、投手にとっては非常に厄介な選手。 （守備・走塁面） 　一塁までの塁間を、3.95秒前後で走りぬける俊足の持ち主。夏の山口大会では6試合で6盗塁を決めるなど、走力を全面に出して相手を揺さぶります。 　この俊足を生かし、守備範囲も広め。打球への反応、落下点への入りなども悪くなく、守備も悪くありません。地肩は基準レベルぐらいという印象でしたが、守備・走塁ともに高校生としては上位の部類ではないのでしょうか。 （打撃内容） 　履正社戦ではヒットこそ打てませんでしたが、山口大会では打率.545厘と対応力の高い打撃が魅力。けしてただの嫌らしいだけの選手ではなく、しっかりヒットも打てる巧打者。 ＜構え＞　☆☆☆☆ 　前の足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。背筋を伸ばしつつも腰は据わり、全体のバランス、両眼で前を見据える姿勢も理に適っています。 ＜始動＞　遅すぎ 　投手がリリースを迎える前後に動き出す、遅すぎるタイミング。ここまで遅いと、プロレベル球威・球速に対し、木製バットで対応するのは厳しいと考えられます。 ＜下半身＞　☆☆☆ 　始動～着地までの間がなく、あらかじめ狙い球を絞って叩く点の打撃になります。足をほとんど上げず、真っ直ぐ踏み出します。真っ直ぐ踏み出すということは、内角でも外角でも捌きたいという意志の現れ。踏み出した足元はブレないので、外に逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができます。 ＜上半身＞　☆☆☆ 　打撃の準備であるトップを作るのは早めで、速い球には立ち遅れません。少しボールを呼びこむ際にグリップがヒッチするというか曲げていた背筋がグィッと伸びるので、その辺が動作として無駄にならないか若干気になります。 　バットの振り出しは、けしてインサイド・アウトではありません。しかし外の球を、バットの先端であるヘッドが下がることなく、ロスなく振りぬくことができています。 ＜軸＞　☆☆☆☆ 　足の上げ下げは小さいので、目線の上下動は少なめ。身体の開きは我慢できており、軸足にも粘りを感じます。軸のブレは少なく、綺麗に回転できています。

将来に向けて

　非常に嫌らしいプレースタイルで異彩を放っており、俊足・好守の三拍子揃った好選手。今後もそのセンスに強さや鋭さを磨いて行けば、大学のみならずその先の世界も広がってゆきそうです。期待して今後も、見守ってゆきたい選手でした。