山本 凌選手 (創志学園)
寸評
創部一年目で、甲子園行きを決めた創志学園。ダイナミックなフォームから繰り出される活きのいい投球で、全国への切符を勝ち取った。今回は、そんな躍動感溢れる投手を、ご紹介してみたい。 (投球内容) 全身を使って投げ込む、肘の下がったスリークオーター。球速こそ125~130キロ程度ではあるが、その数字以上にボールに勢いを感じさせる球質。変化球は、カーブ・スライダー・シンカーなども併せ持つが、ストレート中心で押す投球スタイル。一見粗そうな投手のイメージを受けるのだが、右打者の外角には、かなりの精度でボールを集めることができている。やや左打者に対してはアバウトになる傾向はあるものの、四死球で自滅するタイプではない。そこには、ポンポンとリズムよくストライクを先行させ、常に精神的に優位な状況で、投球を組み立てようという意識が感じられる。 牽制は、1.2秒台強ぐらいと平均的。牽制にも大きな破綻はない。ただどちらかと言うと、試合を組み立てる先発タイプと言うよりは、勢いで押すリリーフの方が、性格的にも向いているのではないのだろうか。この選手の素晴らしいのは、打者に向かって行こうと言う闘争心を忘れないこと。これにより、球速以上に気持ちのこもった球で相手を圧倒することができている。 (投球フォーム) グラブは内に抱えられていないので、フォーム全体が大きく暴れる傾向にある。ただ彼の場合、この躍動感こそが命の部分もあり、更にグラブを抱えなくても制球は安定しているので、それほど悲観することはなさそうだ。もっと腰高のフォームかと思いきや、意外に足の甲の押しつけはできている。ただ肘を立てて投げないフォームのために、ボールが浮きやすい傾向はある。 意外に地面に着きそうな足を、前にグィッと伸ばすことで「着地」のタイミングを遅らせることに成功。身体の「開き」は早くても、打者からはタイミングが取りにくい。ボールもピンポイントに集まると言うよりは、荒れ球的な傾向。打者としてはタイミングが取りにくい上に、的を絞り難い特徴がある。
更新日時:2011.04.04
将来の可能性
まだまだ粗い部分はあるのですが、鍛え方次第ではボールが速くなる可能性を感じさせます。一見粗そうな投球スタイルも、けして四死球で試合を乱さないなど、抑えるポイントはしっかり抑えている。今のスタイルのままでも良いので、全体的なパワーアップに成功すれば、最終学年では中国地区を代表する投手に育つかもしれません。今後の活躍にも、目が離せない新2年生。仲間達と切磋琢磨して、再び甲子園に戻って来る日を楽しみに待ちたいと思います。
更新日時:2011.04.04
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