在原 一稀選手 (習志野)

在原 一稀

球歴:習志野

都道府県:千葉

ポジション:投手

投打:左 / 左

身長:170.0 cm

体重:62.0 kg

学年:卒業

寸評

 私が彼を初めて見たのは2010年の佐倉戦のことである。その時は山下斐のラストサマーを見るために[stadium]市原臨海[/stadium]で観戦した。彼は終盤に代打としていきなり三塁打を打った。一年生ながらいきなり三塁打を打ってしまう勝負強さを感心しながら見ていた。投手も兼任し、纏まった投手であると思っていたが、打撃センスの高さと上背のなさを見て将来性は野手として評価していた。タイプとしては青山学院大学で活躍する内藤大樹を彷彿とさせる選手として見ていた。だが甲子園の投球を見て変わった。投手としての技術の高さ、相手の読みの裏を欠く投球術。小柄だが、この感性の良さならば大学以降でも投手として続けられる可能性があるのではないかと思うようになった。 (投球スタイル) ストレートは常時125キロ~130キロ前後(マックス134キロ)。変化球は90キロ前後のカーブを投げる。110キロ前後のスライダー。ストレートの球威は特に際立つものはないし、目に留まるものはないかもしれない。そのために彼はカーブを混ぜる。90キロ台のカーブを日大三の打者に対しても堂々と投げ込むマウンド度胸。ピンチになってもひとまず外してではなく、いきなりカーブから入る度胸が良い。ストレートとカーブとの球速差は40キロ。その球速差で戸惑わせ、打者を牛耳っていく。 (配球) 右打者には外角中心の配球だが、外角を意識させておいて虚を突くように内角を投げるのが上手い。左打者には外角中心にストレート、カーブを投げ分けていく配球。オーソドックスな配球に見えるが、ここぞという時にインサイドへしっかりと付けるのがピンチになっても初球から緩いカーブで入るなど中々良い。 両サイドの投げ分けは出来ており、緩急を付けながら相手の打ち辛いコースに丹念に突く投球。間合いを変えてじっくりと投げたり、慎重な姿勢を取っている打者に対してはストライク先行で投げたりとしっかりと打者を向き合って投げているのが特徴的だ。 (投球フォーム)  小柄でセンスの良い投手に共通して体の使い方が上手い。体の使い方が上手い投手はフォームの完成度が高いということである。彼は実に完成度の高いフォームで投げることが出来ている。  ノーワインドアップから始動する。右足を回しこむように上げていき、左足は真っすぐ立つ。右足を二塁方向へ送り込んでいき、お尻を落としていき、捻りを入れて着地する。お尻から先行して落ちており、しっかりと捻転動作を維持したまま重心を下げて、体重移動に移行していくので、縦系の変化球を習得しやすいフォームになっている。  右腕のグラブをやや上向きに伸ばしていき、顎も上げていく。テークバックを大きく取ってリリースに入る。球持ち自体は普通。まだリリースに強い力が伝わるフォームではなく、スムーズな体重移動の中で、自分の感覚でストレートとカーブの投げ分けを行う投手であろう。真っすぐ踏み出すことが出来ており、右足でロックすることなく、体重移動が出来るフォームだ。まだ膝の割れが気になるが、これもしっかりとした下半身強化によっては直るので、心配はしていない。 トータルで見ていくと非常に良いフォームだ。下半身主導で動き、右肩の開きを抑えて出所を見にくい形にして、スムーズな体重移動を行う。まだ力強い腕の振りは見られないし、内に秘めたるパワーは小さいので、ストレートは130キロ台だが、今の技術のまま肉体面で成長が見られれば140キロ前後を投げられる可能性は持っているだろう。 (打撃) スタンスはスクエアスタンス。グリップは肩の位置に置いて膝を曲げて構えている。投手足が降りたところから始動を仕掛けていき、足を振り子気味に上げていき、インステップしていく。トップの動きを見ていくと捕手側方向へ引いていき、グリップが入りすぎることはない。インパクトまでロスすることなく振り出すことができており、そしてリストワークが柔らかい。釜田 佳直の速球と変化球をセンター前へ打ち返す打撃は素晴らしい。 走塁も上手く、ベースランニングの巧さが目に付く。基本的に走攻守率なくこなすことが出来る選手なのだ。
更新日時:2011.09.21

将来の可能性

 投手としての技術の高さ、投球術の巧さ、度胸の強さ。投手として求められる技術はしっかりと備わっている。この技術の高さは内藤大樹にはなかった。この技術のまま、身長が175センチ以上で、ストレートが140キロを超えたら、ドラフト候補として注目されるほどだ。それだけ彼の技術の高さは実戦向きである。今後は体格の成長に見合って球速・球威を伸ばしていけるか分からないが、成長が見られるようならば、大学・社会人でも続けることができるのではないだろうか。 打撃センス・俊足だけではなく、視野の広さを持った選手なので、新チーム以降では投手専任ではなく、センターを兼ねながら出場してほしい選手。習志野の中でも1,2を争うほどの野球センスを持ったプレーヤー。甲子園で戦った経験を活かし、別格のパフォーマンスを見せてくれることを期待している。
更新日時:2011.09.21

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