大江 遥選手 (九州国際大付)

大江 遥

球歴:九州国際大付

都道府県:福岡

ポジション:投手

投打:左 / 左

身長:171.0 cm

体重:66.0 kg

学年:卒業

寸評

 この夏の福岡大会甲子園に出場した九州国際大付属の投手陣の中でも、最もマウンドで投げていたのは、この 大江 遥 だった。上背はないが、安定した投球フォームを元に、まとまりのあるピッチングを披露した2年生左腕。来年の九州国際大付属の主戦として、今後の飛躍が期待される。 (投球フォーム)  ワインドアップから振りかぶり、ゆっくりと足を引き上げ、足が地面に着きそうなところまで降ろしてから、グ~と前に伸ばす独特のフォームが特徴的。球速は恐らく、常時125キロ~130キロぐらい。左腕らしい大きなカーブ多く織り交ぜ、たまにスライダーやスクリュー系の球を投げ込んで来る。  ピンポイントで投げ込めるような繊細なコントロールはないものの、大まかに両サイドにボールを散らせて来る。マウンド捌きも落ち着いており、下級生でも地に足の着いた投球で、安心して見ていられる。特に自分の「間」を持っており、自分のペースに相手を引き込むのが上手い。  試合では牽制は見られなかったが、ランナーにはしっかり目配せし威嚇。左投手だけに、そう簡単にランナーも走りだすことができない。クィックは、1.35秒ぐらいとお世辞にも上手いとは言えないが、左投手にはクィックが上手くない投手が多い。むしろランナーで問題になるのは、視覚から消える二塁や三塁に走者を進めた時になりそうだ。 (投球フォーム) <広がる可能性>  地面に足を伸ばるので、元来見分けの難しいカーブや縦に鋭く落ちるフォークの修得は難しい。ただ左投手の場合は、右打者からは腕の振りが角度的に隠れやすいので、多少の腕の緩みは誤魔化すことができる。特に彼の場合は、「着地」までの粘りが非常に作れるので、曲がりこそ鋭くはないが大きなカーブを投げることには成功している。今後も、フォークのような鋭い縦の変化でなければ、多彩な球種を身につけて行ける可能性は秘めている。スライダーやスクリューなどの精度を上げることが、今後の課題ではないのだろうか。 <ボールの支配>  グラブを最後まで内に抱えているので、両サイドの投げ分けは安定。ただ足の甲の押し付けは浅いので、ボールが上吊ることは少なくない。また「球持ち」も平均的で、現状指先まで力を伝えていうほど細かい投球はできていない。ただ将来的に、そういった感覚の良さを魅せても不思議ではない投げ方とピッチングスタイルではある。 <故障のリスク>  お尻が落とせない上での、無理な捻り出しによるカーブの多投は、けして負担の少ないフォームではない。また腕の角度を見ると、かなり無理に角度をつけて投げているので、肩への負担も少なくはないはず。テイクバックした時も、背中のラインよりも肩が入り込むなど、かなり故障の可能性を秘めています。アフターケアには、充分注意して欲しいですし、来年に向けて登板機会も増えるでしょうから、負担のかからないフォームも模索して行って欲しいと思います。 <実戦的な術>  地面に着きそうなところまで足を降ろしながらも、そこから前にグ~と着地のタイミングを遅らせる粘り強いフォームを作っています。これによって、打者は非常にタイミングが取りにくいはず。更に体の「開き」も遅く、球の出どころがわかり難い打ちにくさがあります。  ただ腕の振りはイマイチで、投げ終わったあと体に絡んできません。腕が振れておらず、ボールを置きに来ることが多いので、もっと腕を強く振れるようになって欲しいですね。ただ「体重移動」は上手くできているので、ボールに体重を乗せて投げられています。その球速以上に感じさせる、ボールを投げることは出来できます。
更新日時:2011.09.02

将来の可能性

 まだまだ実際のボールはモノ足りませんし、カーブぐらいしか武器にできる変化球はありません。そのために、もっと投球の幅を広げて行くことが求められます。ただその過程で心配なのが、故障への危険性。非常に打ちにくいフォームを作り出している反面、体に負担のあるフォームで投げています。軽減できるところは軽減しつつ、その力量を高めて行って欲しいですね。  2012年度の福岡は、好い左腕が多い年。それだけに、彼はそれほど目立つ存在ではありません。しかし名門の主戦といて、これから多くの修羅場を経験して行くことになるでしょう。その期待に応えるためにも、さらなるレベルアップが不可欠です。順調に伸びれば、大学などでも即戦力が期待できるような好投手に育っているかもしれません。ぜひその実戦的な投球で、激戦区福岡を勝ち上がってきて欲しいと思います。
更新日時:2011.09.02

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