
三森 大貴 (青森山田)
- 寸評
- 神宮大会では、鋭い当たりを連発し一躍ドラフト候補として注目されました。そして期待された選抜の舞台では、最終打席にセンター前にはじき返したものの、緒戦で敗れ充分なアピールができないまま終わりました。
(ここに注目!)
線の細さからは、信じられないぐらいのヘッドスピードと打球の速さを誇る強打者。全国屈指のスイングの速さを、ぜひ堪能して頂きたい。
(守備・走塁面)
速い時には、一塁まで3.9秒台で走り抜ける俊足も魅力。新チーム結成以来の秋の54試合で、23盗塁はチーム一の盗塁数。4番を任される一方、出塁すればすかさず次の塁を脅かす。
遊撃手としても、無駄な動きが減ってきてショートの守備も板についてきた。送球にあまり強さがないので難しい体勢からの送球に不安があったが、必要な時には地肩の強さも魅せるので、けして肩が弱いわけではなさそう。それでもドラフト候補の遊撃手としては、まだ際立つものは感じられない。
(打撃内容)
引っ張っては長打を放ったかと思えば、綺麗に身体を残して流して来る。選抜での唯一のヒットでは、外角低めの速球を素直にセンターにはじき返した。本質的には、野手の間を鋭く抜けてゆくタイプの強打者なのだろう。
<構え> ☆☆☆
前足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合・全体のバランスとしてはもう一つだが、両目でしっかり前を見据えられている。そのため球筋を錯覚を起こすことなく、追うことができる。
<始動> 平均的
投手の重心が下がりきったところで動き出す、平均的な始動。これは、ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多く観られる。
<下半身> ☆☆☆☆
足を大きく引き上げて、ベース側に踏み込んできます。始動~着地までの時間はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。秋は真っ直ぐ踏み出していた足を、ベース側にインステップしてきます。より外の球をきっちり叩こうという意志の現れかもしれませんが、そのぶん内角へ食い込んでくる球に差し込まれやすいのが気になります。
特に俊足を活かしたい左打者の場合は、率を残すためには真っ直ぐからアウトステップするのが望ましい。よほどのスラッガータイプではない限りは、私は真っ直ぐ踏み出すことを推します。それでも踏み込んだ足元はブレないので、外角の厳しい球や低めの球にも喰らいつくことができます。
<上半身> ☆☆☆☆
打撃の準備であるトップの形を作るのが遅れがちになる時があるので、そこは充分に気をつけたい。それでもバットの振り出しにはロスがなく、インサイド・アウトで振り切れています。インパクトの瞬間にもヘッドが下ることがなく、甘い球を打ち損じません。
<軸> ☆☆☆☆
足の上げ下げが大きいので、目線の上下動はそれなり。それでも開きを最後まで我慢でき、軸足にも粘りと柔軟性が感じられます。 - 将来に向けて
- 秋と大きくは変わっていませんでしたが、逆に選抜のアピール不足で評価を落とす要因も見当たりません。特に課題だった遊撃守備にも成長が観られた点は評価できます。
ドラフトでの指名を決定づけるためには、夏の内容にかかっていると言っても過言ではないでしょう。集大成の夏を、最高の形で迎えて欲しいと願っています。 - 情報提供:2016.07.03
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