山野 恭介選手 (明豊)

山野 恭介

球歴:明豊

都道府県:大分

ポジション:投手

投打:右 / 右

身長:180.0 cm

体重:82.0 kg

学年:卒業

寸評

昨年、選手権ベスト8を経験。2試合に登板し、マックス146キロのストレートを投げ込み、一気に野球ファンから注目を集めた山野 恭介。選抜出場の期待がかけられたが、九州大会の準々決勝で敗退。あと一歩で選抜を逃した。しかしほぼひとりで投げぬいた山野の肩は悲鳴をあげており2ヶ月ノースローを余儀なくされる。そして春季大会も九州大会進出に貢献したが、またも肩、肘は悲鳴を上げていた。そこから最後の夏にむけて治療に専念し、迎えた最後の夏。彼は5試合40イニングを投げて8失点という安定した投球で、決勝まで導いた。決勝では敗れたが、大分工田中 太一と投げ合いを演じたことを考えれば、最高の復活劇だったのではないだろうか。大分大会の決勝戦の投球を目の当たりにして、昨年の山野から変化が見られたように思える。プロ志望届けを出した本格派右腕のラストサマーを取り上げたい。 (投球スタイル) ストレート マックス145キロ 常時135キロ~142キロ カーブ 105キロ前後 スライダー 120キロ前後 縦のスライダー 115キロ~120キロ フォーク 130キロ前後 昨年はひたすらストレートを思い切り投げ込むスタイルであったが、今年は先発ということもあってペース配分を考えた配球。要所ではキレの良いボールを放ることができており、ベストの状態ではないとはいえ、打者を打ち取る投球をしている。スタミナも豊富で終盤になっても140キロ台をコンスタントに叩き出す馬力は素晴らしい。変化球はカーブ、スライダー、縦のスライダー、フォークと球種は多彩。いずれも精度は高く、バリエーションは豊富な投球ができている。なんといっても縦・横・緩急を使える投手であり、高校生としてはハイレベルな投球が出来ているのではないだろうか。 (クイックタイム・フィールディング) クイックは1.3秒台とそれほど速くない上に、クイックになると球速ががくっと落ちてしまうこと。ノーワインドアップのときから投げ込むときは常時140キロ台のストレートを投げ込むことができているのだが、クイックになると135キロ前後に落ちてしまう。ランナーがいても強いボールを放ることを重視するか、球威を殺してでもクイックを磨くか。クイック技術を磨くことが上のレベルで活躍する上で鍵になりそうだ。 (打者の攻め) ・右打者 右打者に対しては外角中心にストレート、変化球を集める投球。コーナーに散らせる投球が出来ているし、緩急を織り交ぜながらストレートを活かす投球ができている。追い込むとストレートで空振りが奪えないのが気になるところだが、ムキにならず変化球を投げて打たせて取る投球ができているのは見事。フォークという決め球もあるし、投球の幅は広いといえる。 ・左打者 ストレートは内外角に投げ分けが出来ているし、変化球を外角に散らせるか、あるいはフォークを織り交ぜて打たせて取る投球が出来ている。ストレートを置きにいって打たれることはあるのだが、投球の幅は広いと言える。 内外角に投げ分けができているし、変化球のキレが良いのでバリエーションは豊富。すべての球種をうまく活かすことができており、高めに浮くことは殆ど少なく、大崩れしない投球が出来ている。毎回、ランナーを背負っていたが、抑えどころでしっかりと抑えることができる投手だ。 彼は良い意味でも悪い意味でもマイペース。ピッチングで最大限、パフォーマンスを発揮するためには、無理をしない投手だ。彼のベースランニングを見ると全力疾走はやらない。それを見れば取り組みが甘いと見方もあるかもしれない。しかし明豊を背負う彼が勝利のために最大限のパフォーマンスをするためには全力疾走をしないのも致し方ないと見る。そういった見方で見ていけば、彼は考えてプレーができる選手だと判断したい。 (投球フォーム) ノーワインドアップから入り、真っ直ぐ左足を上げていき、右足はしっかり立つ。それから右足にしっかり体重を乗せてから、コンパクトにテークバックをとって、強く腕を振り抜くフォーム。開きが早く出所の見易いフォームではあるが、下半身の使い方が上手いので、強い腕を振ることができるフォームではある。 個人的には昨夏とそれほどフォームが変わった印象はない。ただ昨年は頭が上下動するフォームだったのに対し、今年は目線を意識しているのか。全く頭がぶれずに体の近くで振れるようになってきた。力を入れるときは帽子がずれるほどの力投を見せるが、以前と比べると上下動は少なくなり、コンパクトなフォームになってきていると評価する。やはり故障続きによってスタミナの消耗を考えた結果。頭の上下動が少ないフォームに修正していったのではないだろうか。
更新日時:2010.09.17

将来の可能性

145キロ前後の速球をコンスタントに投げ込む馬力だけではなく、すべての球を使いこなすクレバーさもあり、個人的には十分に指名に値する内容を示したと思っている。2年の夏を終えたときから故障続きで、年間通して投げられる土台はないので、ハードなプロでは耐えられるかという不安はある。しかし彼ほどのクレバーな投手が強いプロ志望ならば、プロで活躍するべく練習に取り組むだろうし、私はプロにいくべき投手だと評価したい。ぜひプロの舞台で活躍してくれることを期待したい。
更新日時:2010.09.17

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