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一二三 慎太

一二三 慎太(東海大相模)

都道府県:
高校:
学年:
2011 年卒
ポジション:
投手
投打:
右/右
身長:
185 cm
体重:
85 kg
データ最終更新日:2011年2月8日

寸評

まさに高校野球史に残る投手だ。プロ注目の投手が不調に陥り夏の大会前にサイドスローに転向して、150キロを投げて、激戦区の神奈川を勝ち抜き、そして甲子園決勝(2010年08月21日)まで駆け上った。こんな投手は数十年は出ないだろう。投手としての完成度が落ちたのは否めないが、彼の凄さを物語るラストサマーだったといえる。今年のドラフトの上位候補に挙がる一二三慎太を取り上げたい。

(投球スタイル)
ストレート マックス147キロ
常時137キロ~144キロ
ツーシーム 135キロ前後
スライダー 115キロ前後
チェンジアップ 115キロ前後

当初はややアンダー気味のサイドスローだったので、スピード、威力もそれほどでもなかったが、土岐商業戦(2010年08月16日)で腕の位置を15センチ上げたことで目に見えてボールの威力が増した。初戦の水城戦ではストレートがシュート回転してしまい、ボールになる事が多かった。しかし土岐商業戦以降はそれを逆手にとってシュート回転していくボールで勝負していった。
スライダー、チェンジアップのキレは悪くないが、プロでは勝負できない。今後プロでもサイドスローにしていくのならば、腕の振り、ひじの使い方を見直していかないと変化球のキレを磨いていくのは難しい。彼ほどのセンスの高さならばプロでも通用する変化球を習得できる可能性はあるだろう。

(クイックタイム・フィールディング)
クイックタイムは1.1秒と素早いクイックができており、フィールディングも俊敏で、ベースカバーもかなり速い。野手としては投手の癖を盗んで盗塁するなど、野球センスの高さは今年の高校生の中でもピカイチだろう。

(打者の攻め)
・右打者
外角中心にストレート、変化球を投げ分ける配球。要所ではインコースへずばっと突いていく投球。意識してシュートを使い分けるので打者にとってかなり打ち辛い。このナチュラルシュートはサイドスローに転向して手に入れた決め球だろう。シュート回転するボールは本来なら良くない。スライダー、チェンジアップはそれほど武器にできる精度はないだけにストレートのコントロールが重要だ。
・左打者
外角中心にストレート、スライダー、チェンジアップ、ツーシームを投げ分ける配球。ストレートはシュート回転してしまうので、インコースに攻められないのが課題か。踏み込んで打たれるケースが目立った。

(投球フォーム)
サイドスローに転向して僅か3ヶ月にした投球フォーム。まこのフォームを全否定する方もいると思うが、個人的にはまだ完成度は低いが、悪くないと考えている。
ノーワインドアップから入り、左足を高く上げながら、軸足の踵を上げるヒールアップ投法を採用している。しかしこの動作が逆にタメをなくし、タイミングの取りやすいフォームに変わっている。その後は左足を蹴るような感じで下ろしていき、ややアウトステップしている。左腕のグラブを引き込んで開きを抑えようとしているのは好感がもてる。コンパクトにテークバックを取っていきリリースしていく。肘を使うことができており、打者寄りで離すことができており、球持ちは悪くない。ただ軸足のスパイクがプレートから離れるのが早い。そのためボールが高めに浮いてしまう傾向がある。最後のフィニッシュを見るとしっかりと腕を振り切ることができており、踏み出した足も崩れずにしっかりと支える事が出来ている。

ぎくしゃくしていた選抜のオーバースローと急造のサイドスロー。どちらが自然か問われたら間違いなくサイドスローと答える。何度も言うが、フォームで目に見えておかしい部分はない。それを支えているのは強靭な下半身の強さ。彼の下半身の強さは今年の高校生の中でもトップクラス。強靭な下半身を支える事により動きが少なくてもサイドでも140キロ台のストレートを放る準備は出来ているのだ。強い下半身が頼りなので、下半身の粘りがなくなると体が突っ込みがちになり、ストレートが走らなくなる。
今の投球からさらにワンランク、ツーランクアップさせるには下半身の使い方、あるいは腕の振りの位置など微調整を行っていく事になるだろう。このサイドスローをしっかりと自分の型にすれば、プロでも通用する。

(打撃)
一二三は甲子園で大当たりを見せたが、彼の打撃センスは昨秋から際立っていた。昨秋の関東大会浦和学院戦(2009年11月02日)ではバックスクリーンに打ちこむホームランを見たときは心底驚かされた。水城戦(2010年08月11日)の本塁打は彼らしい滞空時間の長い本塁打であった。この本塁打を見せつけられれば野手・一二三に惚れる人も少なくなかったはずだ。技術的について掘り下げていきたい。
スタンスはスクエアスタンス。グリップは予め引いてどっしりと構えている。投手の足が降りたところから始動を仕掛けていき、足を回しこむように上げて真っすぐ踏み出していく。グリップを引き上げるヒッチする動作を取ってトップの動作に入る。トップに入った時にグリップが入りすぎてしまう癖がある。これではインコースを捌くのは厳しくなる。腰の開きは速いので、巻き込んで打つ傾向があるのだが、強引に引っ張るのだからこそ、この選手はレフト方向へ飛ぶ。打撃フォーム自体はかなり粗いものの、フォロースル―までしっかり振り抜くスイングには迫力があり、150キロを投げるリストの強さも相まって、強烈な打球を飛ばすことができている。今は投手に比重を置いているが、野手に専念したらどんな打者になるか興味深いものはある。ただ高卒プロを想定するとなると大成するまで時間がかかるのは明白だ。そのため打者としてのプロ入りはお薦めできない。投手で挫折して野手に転向する選択肢ならば構わないと思う。

将来の可能性

オーバースローより完成度が低いのは否めない。しかしサイドスローに転向したことで彼の潜在能力の高さ、センスの高さを引き立たせたという見方もできる。この3カ月でストレートのスピードはオーバースローとほぼ変わらないレベルに持っていった彼の順応能力の高さはプロでは大きな武器となるだろう。昨秋の時点でドラフト上位指名される器だと評価しているが、この評価は変わりない。さてプロではオーバースローに戻すべきか、サイドスローにするべきか。個人的にはどちらともいえないのが率直な感想。オーバースローに戻せという意見は多い。彼がサイドスローに転向したのは右肩を痛めて痛くない位置を模索した結果、サイドスローということになった。その予感はしていた。彼は春先のオープン戦から調子が上がらなかった。それはオーバースローがしっくりこないからだ。しっくりこないフォームで、彼は何百球も投げ続けた。だから故障していても驚きはない。しっくりこないオーバースローを再びよい状態に戻すまでにはかなりの時間を要するということ。それならばサイドスローを極めるべきだと思う。プロ志望届けを出したが、恐らく上位で指名される投手だろう。プロで活躍するためにはなんとしてでもプロに生き残る、這い上がるという覚悟。それがあれば数年後には一軍の舞台で活躍していける投手ではないだろうか。

情報提供・文:2010.10.15  河嶋 宗一

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