試合レポート

日大鶴ヶ丘vs都立東大和

2014.07.18

小林3安打完封、日大鶴ヶ丘、東大和に快勝

 春季都大会で西東京勢として唯一ベスト4に進出した日大鶴ヶ丘と、1978年と1985年の西東京大会で準優勝するなど「元祖都立の星」ともいうべき都立東大和の対戦。

 日大鶴ヶ丘は、故障者が多い中での快進撃だった。故障者も戦列に復帰した中で迎えた夏の大会は、春とは少し趣が異なっていた。
一番目についた変化は、春は投手や外野手として活躍した山岸哲也が二塁手で出場していたことだ。その他、数人のメンバーが入れ替わっている。

 この日、日大鶴ヶ丘の先発は、春季大会では投げていない背番号11の小林晃大が、初戦の日大二戦に続いて登板。小林は、ほぼ完ぺきな投球をし、日大鶴ヶ丘都立東大和を圧倒した。

 小林の唯一のピンチは、1回表だった。
都立東大和は2番渡部菖平が中前安打で出塁。渡部は、身長158センチながら、長身選手が多い一塁手を務める、ファイト溢れる選手だ。日大鶴ヶ丘の小林は、一塁に牽制したが、これが暴投になり、渡部は二塁へ。3番吉田玲は三振したものの、4番児玉隼人の中前安打で都立東大和は二死一、三塁のチャンスを迎えた。しかし続く加園凌大は二飛に終わった。

 この後小林は、圧巻の投球をする。小林はチェンジアップなどで緩急をつける、技巧派タイプの投手ながら、ストレートにも力があり、都立東大和打線は打ちあぐねる。初回に2安打した後は、7回に6番小森駿太が中前安打を打っただけ。わずか被安打はわずか3の完封勝利を飾った。


 日大鶴ヶ丘の攻撃面で光ったのは長打力だ。
1回裏、中前安打の山岸を一塁に置いて、4番西田賢太が流した打球は、ライト線ギリギリに入りの三塁打。山岸が還って、まず1点を先取した。

 2回裏には、この回先頭に幾島康平が内角をうまくさばいて二塁打。続く國生将人の犠打、西ヶ谷篤の犠飛で効率よく1点を追加した。4回裏には走者を1人置いて、國生が内角を引っ張って2ラン本塁打。5回裏には山岸が内角を引っ張って本塁打を放った。7回裏には、走者を一人置いて、5番栗田優一の適時打で6点目を入れた。

 春季大会では、打撃面では栗田中心のチームという印象であったが、夏は打線の層が厚くなっている。
春季大会では粘りに粘ってベスト4に進出したが、夏は粘りに力強さが加わった。
また小林が完封したことで、後半の戦いに向けて、エースの秋山翔や春活躍した山岸を休ませることができただけでなく、小林も投手陣の柱の一人として、起用できる目途が立ったことは大きい。

 都立東大和は、右腕の高塚雄太、左腕の川手大輝といった技巧派投手に、球に力がある右腕・藤村皇輝というタイプの違う3投手が健闘したが、日大鶴ヶ丘に力負けした。

 この試合は3失策を記録したものの、部員65人の中から選ばれた都立東大和の選手たちの守りはしっかりしている。今の選手たちは、強かった時代のことは知らないが、動きはキビキビしており、伝統が息づいていることを感じさせる。
今日、実力のある都立校が増えているが、その先駆けとなったのが、都立東大和だ。また「都立の星」として躍進する日が来ることを期待したい。

(文=大島裕史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.10

仙台育英卒業生の進路は超豪華! 主将はプロ入り、主力は早大、明大、中大ら名門へ進学し、すでにデビュー組も多数!

2024.06.09

徳島招待試合2日目は天候不良のためノーゲームに、第2試合も中止を発表

2024.06.09

大阪桐蔭、敗れる! センバツ8強・阿南光の吉岡を攻略できず、エース平嶋は7回被安打10【徳島招待試合】

2024.06.09

【大学選手権注目選手リスト】ドラフト指名漏れの真鍋慧(大商大)ら大物ルーキーが全国デビュー! 青学・西川&大商大・渡部のドラ1候補スラッガー、早大・伊藤、仙台大・渡邊ら3年生の好投手も登場!

2024.06.10

【大学選手権注目ドラフト候補・野手編】”飛び級日本代表”の青学・西川に大商大・渡部ら全国のスラッガーが神宮に集結!

2024.06.08

慶應義塾が15安打12得点で強打健在も投手陣に不安 先発小宅は5回途中で降板【香川招待試合】

2024.06.04

神村、鹿実の壁を破れ! 国分中央は「全力疾走・最大発声・真剣勝負」で鹿児島の頂点を狙う

2024.06.10

仙台育英卒業生の進路は超豪華! 主将はプロ入り、主力は早大、明大、中大ら名門へ進学し、すでにデビュー組も多数!

2024.06.05

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在36地区が決定、徳島の第1シードは阿南光!第2シードに池田!<6月5日>

2024.06.06

大阪桐蔭が選抜ベスト8の阿南光ら4チームと対戦!<招待試合>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得