今村信貴(太成学院大)

太成学院大・今村信貴の挑戦

“たかが初戦、されど初戦”とは良く言ったものである。

甲子園で勝つことを目指すのであれば、地区予選・初戦の戦いなどさほど重要視されるものではない。
長丁場の戦いにおいて、初戦のプライオリティ―重くはない。

しかし、一方で、初戦の戦いをいかに上手く入るかに、チーム、または個人の持つ、ポテンシャルの高さを推し量れるのも、また事実である。

常々、思うのである。
その年の注目選手の「初戦」こそ、もっとも重要なのではないか、と。

06年夏の大阪大会、府立の星として注目された城東工の山田 弘喜(元ヤクルト)は初戦となった福泉戦で、参考記録ながら完全試合を達成した。

09年夏には、春からウナギ昇りに評価を挙げて、注目を浴びた関大一西田 哲朗(楽天)が、その夏、初スイングで本塁打を叩きこむと、そのままサイクル安打を達成した。

 当時の山田は「(初戦の大記録達成に)意外とフツーでした」といつもと変わらぬ戦えたと主張し、西田は「スカウトがたくさんこられるのを知っていたので、自分の力を見せつけよと思った」と話したものだ。相手が格下だったという風が吹いていたとはいえ、大会前から新星として注目されても、初戦から変わらぬポテンシャルを発揮できたことは、彼らの強さを示す一つのポイントだったといえる。

 PL学園大阪桐蔭などの強豪校のように、常日頃からプレッシャーを浴び続けているチームとは事情が違う。
いつもは平凡な日常を過ごしている彼らが、一時的に脚光を浴びる。その中で迎える夏というものが、どれほど、「いつもと違う」空気が漂うか、想像できるというものだ。