選抜からの安田尚憲の成長を初戦から探る!

 昨年夏、かつての常勝校、PL学園がその歴史にひとまず幕を下ろした舞台がこの花園球場(東大阪大柏原7-6 PL学園)。バックネット裏に座って右手向こうを見ればラグビーの聖地、東大阪市花園ラグビー場の威容が臨め、球場はそもそも花園中央公園の中にありロケーションは最高だ。

 さて戦前の予想はセンバツ準優勝校、履正社の圧倒的優位。しかし、常翔啓光学園は昨年秋の大阪大会で2勝して4回戦に進出している学校。試合前のシートノックでは二塁手が2人続けてグラブトスで4-6-3の併殺プレーをするプロっぽさで、戦前の予想を鵜呑みにできない空気が漂っていた。

 そんな不穏な空気を一掃したのが1回裏、履正社の攻撃だ。1番西山 虎太郎(2年・遊撃手)がライトに弾き返した打球は普通なら単打の位置に達したが、右翼手の深い守備位置を見た西山は二塁を陥れ、このときの打者走者としての二塁到達タイムが7.86秒。私が俊足の目安にするタイムが8.3秒未満なので、超高校級の俊足と言っていい。2番筒井 太成(2年・中堅手)がバントで送って一死三塁とし、ここで常翔啓光学園の先発投手の暴投で難なく先制点をものにする。

 これだけで終わらないのが履正社の強さだ。3番安田 尚憲(3年・三塁手)がストレートの四球で歩き、4番若林 将平(3年・左翼手)の右前打で一、三塁のチャンスを迎え、5番今田勇大(2年・右翼手)のライトへの犠牲フライで2点目が入る。3回はさらに効率がいい。筒井、安田が四球で歩き、筒井の三盗で一、三塁としたあと、今田の一塁ゴロで筒井が還って3点目。4回は1安打、3四球に相手内野手のエラーも絡んで4点を追加し、ここで勝負は完全に決した。

 バックネット裏のスカウトが注目する安田のバッティングはどうだっただろう。第1~3打席は四球で、打てそうな球は1つもなかった。6回裏の第4打席は2ボールのあと一球見のがして2ボール1ストライク、ここから2球ファールして6球目は低めに変化球を落としてくると安田は狙い球を絞ったと試合後に語っている。予想通り、6球目は低めへのチェンジアップで、これを捉えると打球はライナーでライトフェンスを越えていった。

 私は打者の始動(左打者なら右足の最初の動き)を早い順に1、2、3と順番をつけているが、安田のセンバツ時の始動は3でかなり遅かった。それがこの日は2になり、安全策を取っていた。早いからいい、遅いからいい、というのでなく、常にバッティングのことを考えていて一つ所にじっとしていられない、そういう「野球バカ」っぽい執着心に私は惹かれる。

(レポート=小関 順二

 全国各地の大会結果や試合レポートはここでチェック!
夏の大会特集ページ