今月より新連載。田尻 賢誉によるコラム「無死満塁」


無死満塁――。

攻撃側にとってはビッグイニングが期待できる大チャンス。守備側にとっては大ピンチ。攻撃側のファンは大量点を期待し、守備側のファンにとっては最低でも1点を覚悟する。見ている誰もが「点は入るだろう」と予想する状況だ。

ところが、これが意外と点が入らない。『甲子園戦法 セオリーのウソとホント』(朝日新聞社)によれば、もっとも点が入るのは無死三塁(81,4%)、次いで無死一、三塁(77,3%)で、無死満塁(76,0%)は三番目にすぎない。アウトはゼロ、走者は3人。それなのに、なぜ点が入りにくいのか。無死満塁では、たいていの監督は一人目の打者にはヒィッティングを指示する。そこで安打が出れば大量点が見えてくるが、アウトになると1死満塁となるため、併殺が怖くなる。だからといってスクイズを敢行したくとも、フォースプレーのために失敗しやすい。「では、どうすれば……」と息づまってしまうのだ。

無死満塁でゼロに終わると、攻撃側にはダメージが大きい。流れは守備側に傾く。逆にいえば、守備側はピンチだが、流れを引き寄せる大チャンスともいえる。無死満塁で監督はどんな采配をふるうのか。はたまた、プレーしている選手の心境は。実際の試合から、それぞれの無死満塁を検証してみたい。


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