新入生の体力とコンディショニング
新入生はまず体力的な負荷を受け入れられるだけのキャパシティ=体づくりを優先させよう
4月になり多くのチームでは新入生を迎える時期となりました。しばらくは上級生の練習とは別に、新入生の体力レベルにあわせた練習強度・練習量を考慮することが必要となるでしょう。まずはケガを予防するために体力レベルを向上させることが優先されます。
●練習でケガをしないために
同じ練習を行っていても、疲れてヘトヘトになる選手がいる一方で、全体練習後にも自主練習で汗を流す選手がいるとします。こうした違いが見られるのは人によって体力的なキャパシティ(受け入れられる能力)に差があるからです。そして特に成長期にある高校生では体格や体力面で大きな違いが見られることは不思議なことではありません。ましてや新入生と上級生では今まで行ってきたトレーニングの積み重ねに大きな差があることは明らかです。
体力的なキャパシティはコップに見立てて考えるとわかりやすいと思います。大きいコップ(例えばキャパシティが大きい上級生)と小さいコップ(新入生)の双方に、水(練習やトレーニングなど体力的な負荷)を注いでいくと、小さいコップは少ない水でもやがてあふれてしまいます。同じ練習であっても上級生の方がより受け入れられる能力が高いことがイメージできるでしょう。コップの水をあふれさせないためには体力的な負荷を回復する=疲労回復のために十分な睡眠(休養)、栄養バランスの整った食事、クールダウンや入浴、ストレッチなど疲労回復に役立つコンディショニングが必要となります。コップと水がバランス良く存在している状態が良いコンディションであると言えます。
●体力アップを優先させよう
一方、コップそのものを大きくするために必要なものが体づくりです。基礎体力をつけて体力的な負荷に対するキャパシティを高めることで、より多くの「水=体力的な負荷」を受け入れることができます。新入生の皆さんは、野球でケガをしないためにも時間をかけて基礎体力をつけるとともに、疲労回復に対するセルフコンディショニングを実践していくようにしましょう。体力強化と体力的な疲労は表と裏の面を持ち合わせていますが、コップの水をあふれさせないようにしながらも、水を入れ続けるというそのバランスを見いだすことや、コップそのものを大きくすることがケガ予防につながります。
またコップが大きくなると、それに伴って技術面でもできることが増えていき、パフォーマンスアップも見込めるようになります。新入生の皆さんはもちろん上級生の皆さんも自分が今行っている体力強化、練習内容とセルフコンディショニングを振り返り、コップの水をあふれさせないように体力的な負荷をコントロールすることが大切です。
文:西村 典子
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