アクシデント対応のフローチャート
いざという時に慌てないように、フローチャートを活用しよう
実践練習や他校との練習試合を行う機会が増えると、アクシデントが起こるリスクも増えることが懸念されます。スポーツ現場や試合会場では「緊急時対応計画(EAP=Emergency Action Plan)」を作成することが推奨されており、普段からアクシデントが発生したときの行動について確認しておくことが大切です。一般的にトレーナーや指導者、保護者など大人が対応することが多いものですが、アクシデント発生時に一番近くにいるのが選手だったというケースも考えられますので、選手の皆さんも緊急時の対応について必ず理解しておきましょう。
●緊急性の高いアクシデント「3H」とは
運動中におきるアクシデントのうち、生死に関わるとされているのが、Heart=心臓、Head=頭部(首も含めて頭頸部)、Heat=熱の3要素です。これは頭文字をとって「3H」と呼ばれています。Heartでは心臓疾患の突然死が一番多く、頭部では外傷による脳内出血や頭蓋骨の骨折、熱は熱中症のことを指します。これら3つのアクシデントに遭遇したときは救急車の要請や迅速な救急対応などを行います。
●「3H」と判断に迷う場合は119番通報
頭頸部や胸部付近への強い衝撃が加わったとき、周囲の安全状況を確認後(二次災害を防ぐため)にすぐに選手の状態を観察します。意識や反応、呼吸の有無によっては119番通報と、AEDを準備する必要があります。最初に選手への対応を行っている人は、周囲の人を呼び集めて協力を依頼し、119番への通報する人、AEDを取りに行って準備する人をそれぞれ「あなたにお願いします」と手で指しながら指示しましょう。「3H」に該当するケースはもちろんのこと、「頭を強く打っているけど意識はあり、でもフラフラする」とか「本人は大丈夫といっているが顔色が悪い」など、判断に迷う場合にも119番通報をして指示を仰ぐようにしてください。
●AEDの場所確認と病院リストの作成
グランドから一番近いAEDの設置場所をチーム全員が理解しておく必要があります。AEDは早く準備できるほど救命の可能性が高まるため、必要なときにすぐに取りに行けるようにしておきましょう。自チーム以外のグランドなど環境が変わったところで試合などを行う場合は、まずAEDがどこに設置されているかを確認しておきましょう。
また緊急時にすぐに行くことのできる病院リストを作っておくことも大切です。近隣の整形外科をはじめ、時間外対応が可能な総合病院、大学病院などもあわせてチェックしておき、電話番号や休診日など必要な項目を書いておきましょう。
アクシデント対応時に迅速に行動するためのフローチャートを作成しました。これは一例ですが、グランドの場所や病院の詳細などを記入し、ベンチなどに掲示していざという時に冷静に行動できるように役立ててください。また必要に応じてブラッシュアップしてもらえればと思います。
【緊急時のフローチャート】
文:西村 典子
球児必見の「セルフコンディショニングのススメ」も好評連載中!