ケガをポジティブにとらえよう
ケガをした時は体力レベルをアップできるチャンスととらえよう
野球に限らずスポーツにはどうしても避けられないケガはつきものですが、その一方で避けられる・予防できるケガというものも存在します。特に練習過多による疲労(オーバーワーク)が要因となって起こるもの、使いすぎ(オーバーユース)によって起こるものはなるべく防ぐようにしなければなりません。選手の中には痛みや違和感がありながらも「これくらいなら大丈夫」とプレーを続ける人もいると思いますが、こうした「体からの危険信号」を無視してしまうと、やがて大きなケガを引き起こしてしまうことがあるため注意が必要です。
痛みや違和感があってプレーをすることに支障がある場合は、練習を休んで痛みの原因となるものを取り除くことを優先させましょう。練習を休むどうかの目安としては「受傷直後から強い痛みがある」ことや「時間の経過とともにだんだん痛みが強くなる」ことが挙げられます。突発的なケガ(ボールに当たった等、原因が明白なもの)についてはケガの急性期(2~3日間)を経て、痛みが和らいでいるかどうかを目安とします。「痛みがあるけれどプレーができる状態」は判断がむずかしいところではありますが、早めに休んでケガに対するリハビリなどを優先させた方が、結果的には早く競技復帰できるケースが多いことを覚えておきましょう。
ケガによる痛みは疲労や筋肉痛によるものなのか、同じ部位にストレスがかかって組織を傷めてしまっているのか、柔軟性や筋力など体力面での問題があるのか等、さまざまな要因が考えられます(そしてそれは一つではなく、複数ある場合も多い)。こうした要因を特定するためにも早めに医療機関を受診し、その上でケガからの復帰に向けたプランを立てていくようにしましょう。練習を休むことは「何もしない」ことではなく、動かせるところは動かしながら、ケガをした時よりもよりよい状態に「進化」して競技復帰を目指すようにします。ケガによって練習に参加できないとどうしてもネガティブに考えがちですが、練習を休んだことによってより体力面をレベルアップできる時間ができたと前向きにとらえることが大切です。
同じケガを繰り返さないためにも自分の体に必要なコンディショニングやトレーニングを行い、「ケガの功名」(災難や過失と思っていたことが、思いがけなくよい結果を生む)となるように自分自身でできることに取り組んでいきましょう。
文:西村 典子
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