調理方法とエネルギーの違い
蒸し料理は低エネルギーで、かさの多い野菜などもたくさん食べることができる
野球選手にとって筋肉量を増やして体脂肪を減らすことは、パワーアップや機敏な動作を支えるために意識したいことの一つです。特に体脂肪は多すぎると「おもり」となってしまいますが、少なすぎると「エネルギー切れ」を起こしやすくなってしまいます。選手自身の感覚として、動きが鈍くなるほど体が重いと感じるときは体脂肪量を減らすことも考慮する必要があるでしょう。
食事面で考えてみると、たんぱく質や糖質(炭水化物)、脂質といった三大栄養素は特にアスリートにとっては欠かせないものですが、エネルギー(カロリー)過多になってしまうと余ったエネルギーは体脂肪として蓄えられることが知られています。食事の内容を見直すことも大切ですが、今回は調理方法によるエネルギーの違いについて考えてみましょう。
食材を加熱するための調理方法としては「ゆでる」「焼く」「蒸す」「煮る」「炒める」「揚げる」の6通りが考えられます。このうち高エネルギーになりやすいのが「揚げる」と「炒める」です。「揚げる」は油の中に食材を入れて加熱するため、油を含みやすく、素揚げよりも衣をつけたフライや天ぷらなどはよりエネルギーが高いと考えられます。「炒める」もまた油を使う調理方法ですが、フッ素加工を施したフライパンを使用したり、食材の持つ脂分などで調理すると、油の使用量が抑えられるためエネルギーを抑えることができます。「焼く」については油を使用しないで焼く、網焼きなどで食材の脂分を減らすことができればよりエネルギーを低くすることができます。
一方、油を使わない調理方法としては「ゆでる」「蒸す」「煮る」があります。「ゆでる」はお湯で加熱する方法ですが、食材に含まれる脂分が出汁として料理に含まれるとエネルギーが高くなる場合があります。「煮る」についても砂糖など使う調味料によっては高エネルギーとなってしまうことがあります。「蒸す」は水蒸気で加熱され、食材の持つ脂分は水分に含まれて失われるため、エネルギーを低く抑えることができます。
6つの調理方法を見てみると、油を使わず、食材の持つ脂分を減らすことができる「蒸す」が一番低エネルギーであり、「ゆでる」「煮る」は食材の脂分や調味料によって、「焼く」は油の使用や網焼きなどの方法によってエネルギーを低く抑えることが期待できます。調理方法によって食材から得られるエネルギーに違いが生じることを理解しておくと、よりエネルギー(カロリー)コントロールがしやすくなると思います。外食やビュッフェ形式の食事などで料理を選ぶ際の参考にしてみてくださいね。
文:西村 典子
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