香りをコンディショニングに活かす
ラベンダーの香りはリラックス効果をもたらす
皆さんは「香り」にこだわりがありますか? 選手の中にはユニフォームを洗濯するときに、柔軟剤の香りにこだわってみたり、部屋でアロマキャンドルを炊いてみたりと、お気に入りの香りを日常的に使っている人もいることでしょう。着替えた後にボディミストなどを使って汗臭さを解消しようという光景もよく見かけます。心地の良い香りは、気分転換や気持ちの切りかえにもよい影響をもたらすと考えられます。
よい香りをかぐと好ましく感じるのは、嗅覚の持つ作用にあるといわれています。五感から得られる情報は脳へと伝えられるのですが、視覚や聴覚から得られる情報は「理性をつかさどる」大脳新皮質に伝達されるのに対し、嗅覚から得られる情報は「人間の本能をつかさどる」大脳辺縁系に伝達されることが知られています。大脳辺縁系は脳の中心部に位置し、喜怒哀楽や「好き」「嫌い」などより本能的な部分を支配している「古い脳」と呼ばれる部分です。さらに大脳辺縁系は自律神経をつかさどる脳の視床下部と連携しているため、体のオン・オフの切り替えにも作用します。五感の中でも嗅覚から得られる情報のみが大脳辺縁系に直接伝わるのは、その背景に食べ物のにおいや自然のにおい、他者のにおいなど、自らの生存を左右する情報であるからと言われています。
自律神経のうち交感神経を刺激すると体は活発になり、副交感神経を刺激すると体はリラックスモードになります。普段のコンディショニングにおいては入浴後にストレッチを行うとき、体をリラックスさせて就寝するときなどに副交感神経を刺激するような香りをうまく活用してみましょう。リラックスモードをもたらす代表的な香りの一つがラベンダーです。緊張をほぐすことに貢献するため、入浴剤や入眠を誘うアロマオイルなど、さまざまなところで用いられています。一方、頭をすっきりさせたいときなどはペパーミントの香りを使い、眠気をさまして集中力を高めるために用いることがあります。体のコンディションを整える一つのアイテムとして香りを上手に活用してみましょう。ただし香りは周囲にひろがるため、他人や環境への配慮は忘れないようにしてくださいね。
文:西村 典子
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