成長期にみられる膝痛・オスグッド病
大腿四頭筋の強い牽引力によって脛骨粗面部が剥離し、膝下の痛みを発症する
（日本整形外科学会サイトのイラストを参考に作成）
成長期によくみられる膝のスポーツ傷害にオスグッド病（オスグッド・シュラッター病）があります。小学校高学年から中学生にかけて多く発症し、高校生や大人になってからもその痛みを抱えたままプレーをする選手が少なくありません（オスグッド遺残症）。
身長が伸びる時期の体は、骨の成長スピードと筋肉の成長スピードに違いがあり、骨の方がより早く成長することが知られています。骨が先に伸びてしまうと、骨についている筋肉は常に引っ張られた状態となってしまいますが、そこに激しい運動などが加わると骨と筋肉の付着部はより強い牽引力が加わって炎症を起こし、痛みを感じるようになります。
オスグッド病は太ももの前側にある大腿四頭筋が関与します。大腿四頭筋は、膝の曲げ伸ばしをするときに使われる筋肉で、膝蓋骨を経由して脛骨粗面（けいこつそめん）という部位に付着しています。成長期に膝を激しく使う運動を繰り返すと、強い牽引力によって脛骨粗面部の一部（成長軟骨部）が剥離して、オスグッド病を起こすことがあります。疲労によって大腿四頭筋が硬くなると、柔軟性が低下してより牽引力が大きくなります。
痛みを伴う場合はまず氷などで患部を冷やし、激しい運動を避けるようにすることが大切です。また大腿四頭筋の柔軟性を回復させるためにも、入念にストレッチを行うようにしましょう。ただし、ストレッチをして膝下の痛みが強くなるときは無理に伸ばさず、自分で軽く太ももをほぐす程度にとどめておきます。また股関節の前側にある腸腰筋のストレッチなどもあわせて行うようにすると良いでしょう。
成長期のピークを過ぎた年代であっても骨や筋肉の成長には個人差があるため、普段から膝下に痛みがないかを自分なりに確認しておくことも大切です。クールダウン時や入浴後のストレッチなど、日課としてチェックしておく習慣をつけましょう。運動中に痛みがなくても、患部を押して痛みがある場合は、練習量が増えるにつれて痛みが悪化する場合があります。また痛みをおしてプレーを続けていると、逆足でかばった動きをしてしまったり、他の部位に大きな負担がかかって新たにケガをしてしまうことなども考えられます。いつもと違う膝の痛みに気がついたら、練習後のアイシングや大腿四頭筋のストレッチなど早め早めに対応することを心がけましょう。また練習後だけではなく練習前などから痛みが持続する場合は、すみやかに医療機関を受診するようにしましょう。
参考サイト）日本整形外科学会「オスグッド病」
文：西村 典子
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