サプリメントの必要性を再考する
疲労回復にはサプリメントの前にまず十分な睡眠を確保すること
最近はドラッグストアやコンビニなどでもサプリメントを購入できる時代となりました。選手の中にはサプリメントを自分自身で購入した経験のある選手もいるのではないかと思います。ところでなぜそのサプリメントは必要なのでしょうか。「疲れがとれやすくなるから」「トレーニングの効果に影響がありそうだから」という理由の前に、本当にそのサプリメントが必要かどうかを考えてみましょう。
●しっかり休んでいますか
体づくりに必要なのは「練習(トレーニング)」と「栄養」そして「休養」のバランスです。どれだけ練習を積み重ねても適切な栄養がなければ、パワー不足を起こしたり、筋力の向上が見られなかったりします。そして「休養」です。皆さんは部活動だけではなく勉強や学校生活など、さまざまな活動を行い、時間的な余裕が少ないかもしれません。通学時間が長い選手であればなおさら自宅で過ごす時間が短くなり、睡眠時間が削られてしまうということも起こるでしょう。普段の生活を見直すと同時に睡眠時間を先に確保し、そこから残った時間で優先順位をつけてさまざまなことに取り組むようにしてみましょう。疲れをとるためにサプリメントをとるのであれば、その前に睡眠時間を確保することの方がよっぽど大切です。
●「これを飲めば調子がいい」は食生活の見直しを
ある特定のサプリメントをとると体調がいいと感じる場合、その栄養素が普段の食事で不足していることが考えられます。例えば朝食は菓子パンとジュースだけ、昼食は丼物の一品だけ、夕食は肉がメインで野菜不足・・・といった食事は、野球選手にとってふさわしい食生活でしょうか。おそらくビタミンやミネラル分が不足し、体調を崩しやすくなったり、ケガの回復が遅くなったりといったことが考えられます。「このサプリメントをとると調子がいい」というものがあれば、そのサプリメントに含まれている栄養素を食事から摂るように心がけてみてください。サプリメントはあくまでも「栄養補助」食品であることを覚えておきましょう。
●摂りすぎるとかえって体調を崩すことがある
「過ぎたるは及ばざるがごとし」と言いますが、体に必要だからと一つの栄養素を偏って多く摂ってしまうと、過剰摂取による体への影響やアレルギーの心配があります。水に溶ける水溶性のビタミン(ビタミンB群やビタミンCなど)は過剰に摂取しても余った分は尿と一緒に排出されますが、それでもビタミンCは多く摂り過ぎるとお腹を壊しやすくなります。脂溶性のビタミンやミネラル分についても必要以上に摂り過ぎると、過剰症によって体調に異変をきたすことが懸念されます。
「あまりよくわからないけれども、何となく体によさそう」という知識レベルで安易に使用することは、かえって体調を崩すことにもなりかねません。皆さんに必要なものは「十分な睡眠」と「栄養バランスを考えた食事」であり、それが実践できているかどうかをまず確認することから始めましょう。
文:西村 典子
球児必見の「セルフコンディショニングのススメ」も好評連載中!