暑熱環境とランニング
体力強化を目的としたランニングは優先順位を考えながら行うようにしよう
野球の練習には技術力を高めるための実践的な練習とともに、体力面の強化を目的としたトレーニングやランニングなどが行われることと思います。個人としてもチームとしてもさらにレベルアップするためには「やることがいっぱいある…」と感じる選手や指導者の方もいらっしゃるかもしれませんね。
暑い時期の練習は体力の消耗も激しいため、こうした練習やトレーニング、ランニングには優先順位をつける必要があります。全部やろうとしてしまうと体力レベルを越えて疲労がたまり、ケガをしてしまう一因ともなりかねないからです。足し算で付け加えるのではなく、引き算思考でそのタイミングにより必要なものを熟考して選ぶことが大切です。
特に体力面の強化を目的としたランニングは注意が必要です。暑熱環境下で「スタミナをつけたいから」と長い距離を走り続けてしまうと、熱中症のリスクを高めることが考えられます。スタミナを強化したいと考えるのであれば、ランニングと休息を交互に繰り返すインターバル走などもその候補として挙げられるでしょう。ただしこちらも体に大きな負担がかかるため、朝・夕方の涼しい時間帯に行う、風通しの良いところや日陰などに移動して行うといった、時間・場所(地面)などを考慮して行いましょう。さらにセット間には必ず水分補給を行う等、体調面でのサポートも必要となります。
練習試合が続く期間であれば、体のキレを意識した短いダッシュを繰り返すランニングを採用することも良いでしょう。この場合はウォームアップの中にフィジカルトレーニングとして組み込んで、手や目の情報をもとにスタートを切るようなダッシュを行います。練習後や試合後などに行う場合は疲労がたまっていることも考慮し、本数を決めて短時間で終わらせるようにしましょう。また全体練習後のクールダウンとして、軽くジョギングを行ってからストレッチを行うようにすると筋肉痛の軽減や疲労回復に役立ちます。特に暑い時期は環境や体力面を考慮しながらランニングプログラムを実施するようにしましょう。
文:西村 典子
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