起床直後の体と筋力発揮
早朝は最大筋力が発揮しにくい状態であることを覚えておこう
皆さんのチームでは早朝練習を取り入れているところもあると思います。早朝に体を動かすために必要なことや、気をつけたい点について確認しておきましょう。
●起床直後の体
起床直後は頭がボーッとして、体も何となく重い感じがする…という選手もいるかもしれません。これは十分な睡眠をとっていたとしても、多かれ少なかれ感じるものではないかと思います。理由としては「まだ体は活動への準備が出来ていないから」。寝ている間は体を休めるために自律神経の一つである副交感神経が優位に働きますが、目覚めた直後から今度は交感神経が優位に働いて活動に向けて準備をしていきます。この「自律神経のスイッチ=運動に最適なコンディションになる」には数時間程度かかるとも言われ、朝一番の試合であれば、試合開始から逆算して少なくとも3時間前には起床することが望ましいと考えられます。起床後の数時間は、体が運動に対して準備万端になるために必要な時間なのです。
●朝は筋力発揮しづらい
皆さんも朝起きた直後は手や足に力が入りにくいといったことを感じませんか。これは脳からの指令が筋肉を動かすという一連の神経回路がまだ十分に働いていないことが考えられます。十分な筋力発揮を促すだけの脳からの指令が届いていないのか、もしくは指令は届いても筋肉がまだ十分に力を発揮できない状態にあるのか。頭なのか体なのか、はたまたその両方なのか、というところはわかりませんが、起きた直後の体は、車で言うところの「アイドリング状態=活動の前段階」にあるというとイメージしやすいかもしれません。このような状態から少しずつ頭と体を起こし、エネルギーと水分を補給し、活動できる状態へと変化していきます。
気をつけて欲しいのは、早朝のウエイトトレーニングです。十分に準備をした上でも、朝から最大筋力を発揮するのはむずかしいかもしれません。いつもなら挙上できる重量が挙げられなかったとしても、無理にチャレンジするのではなく、回数を反復しながらトレーニングを行う方がよいでしょう。早朝にトレーニングを行う場合は、思わぬケガをしないように、必ず二人以上のペアになってお互いを補助しながら行いましょう。
●交感神経を刺激する「朝の行動」
自律神経をスイッチし、交感神経を優位に働かせるためにはいくつか方法があります。朝、起きてからシャワーを浴びるというのも一つの方法ですし、さらに湯船につかって全身を温めるようにすると、頭も体もしっかり目覚めて、体の柔軟性向上も期待できます※(ちなみにヤクルトの村上選手は朝風呂の習慣をマイルールにしているそうです)。朝からシャワーやお風呂に入る時間がない場合でも、朝食をよく噛んで食べるようにし、交感神経を刺激しましょう。
※ヤクルト4番・村上宗隆のマイルール
https://www.fnn.jp/articles/-/374589
文:西村 典子
球児必見の「セルフコンディショニングのススメ」も好評連載中!