緊張をやわらげる就寝前の過ごし方
緊張とリラックスをコントロールして、より良い状態で試合に臨もう
大事な試合や先発予定がある前日には何となく緊張してしまったり、気持ちがフワフワして落ち着かなかったり…といった経験をした選手も多いのではないでしょうか。適度な緊張はよいパフォーマンスを発揮するために必要なものですが、その緊張が強すぎるとコンディションにも影響を及ぼします。特に睡眠不足は集中力の低下のみならず、熱中症などのリスクも高まります。緊張をやわらげるための就寝前の過ごし方について確認しておきましょう。
●入浴は少しぬるめのお湯につかる
人間は体が温まった状態から冷えてくるときに眠気を催すメカニズムが働くと言われています。入浴時には自分が気持ちいいと感じる温度から「ややぬるめ」を設定し、ゆっくりと体全体を温めるようにしましょう。熱すぎるお湯は交感神経を刺激して眠れなくなってしまうことがあるので注意が必要です。お湯の温度が少し低めでも炭酸ガスの入った入浴剤などを活用すると、湯冷めを予防し保温効果も期待できます。入浴は就寝の2時間~1時間前を目安に入ると良いでしょう。
●脳が興奮している状態は「頭を冷やす」
よくカッとなっているときに「頭を冷やせ」などと言われたりしますが、脳が興奮している状態では実際の温度も上がっていると言われています。パソコンも長時間稼働したままだと脳の部分にあたるCPUが熱を持って熱くなってしまいますが、人間の体でも同じようなことが起こっていると考えるとわかりやすいでしょう。この場合は水枕や氷枕、保冷剤などをタオルでくるんで後頭部を中心に冷やすようにすると寝つきがよくなります。ただし首元を冷やすと逆に交感神経を刺激して覚醒を促してしまうので、冷やす部位は「後頭部」と覚えておきましょう。
●緊張と弛緩を繰り返す筋弛緩法
メンタルトレーニングなどでも使われる筋弛緩(きんしかん)法は、緊張して力んだ体をリラックスさせる効果が期待できます。まず仰向けに寝た状態で全身の力を抜き、ある一部分だけ集中的に力を入れて筋肉を緊張させ、その後、力を抜いてリラックスするという動作を繰り返します。右手、左手、右足、左足というように一ヶ所ずつ力を込めて5秒間ほど筋肉を緊張させ、その後力を抜いて30秒程度リラックス状態を保ちます。これをそれぞれの部位で2~3回程度繰り返します。体の緊張がほぐれることで不安感を軽減させ、入眠しやすくなります。
就寝前の過ごし方によって翌日のコンディションが変わります。よりよい状態で試合に臨めるよう、できることからぜひ実践してみましょう。
文:西村 典子
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