試合期にトレーニングを行う場合
試合期は「高強度×低負荷」を基本とし、疲労具合を考慮しながらトレーニングを行おう
ウエイトトレーニングをパフォーマンスに活かすためには、「年間計画」を立てて、時期ごとに適切なトレーニングの頻度や負荷などを調節します。これを「期分け(=ピリオダイゼーション)」と言います。大事な公式戦を前にすると、どのタイミングでトレーニングを行うのか、それとも実施しない方がいいのか、そしてトレーニング内容はどのように考えるのか、といった疑問が出ることと思います。直接、専門家に指導を受ける機会がない場合は次のことに気をつけて行うようにしましょう。
●試合期はパワー発揮をメインに行う
トレーニングプログラムを計画的に行い、土台となる基礎筋力がある程度ついてきた選手(スクワットの目安は体重の1.5倍の重さを1回挙上することができる)は、瞬発的な力を素早く発揮する「パワー」を養う時期となります。ここでは1回挙上重量(1RM)よりもやや軽い重さを用いて、高強度×低回数のセッションを行います。例えば3RMの重量(3回挙上できる重さ)を用いるのであれば、その負荷を用いて1、2回、1~3セット行うというものです。全体的なトレーニング量は減らし、短い時間で強い刺激を加えることを意識して行います。
●疲労が蓄積している状態では行わない
トレーニングを行うタイミングとしては、疲労していないフレッシュな状態の時が理想的です。試合前になると疲労の蓄積が原因となって起こるケガや、トレーニング中のケガを避けなければなりません。練習時間がいつもよりも長く、運動強度が高い時はそこからさらにトレーニングで体を追い込むことは控え、疲労回復を優先させるようにしましょう。ストレッチや軽負荷でのエクササイズ、栄養バランスを考えた食事、十分な睡眠などがコンディションの回復に役立ちます。
筋力維持を目的としてトレーニングを継続する場合は、1週間に1回トレーニングを行います(強度設定は中程度~やや高強度を目安に)。筋肉痛などを考慮して翌日に試合がある日を避けて行いましょう。
●トレーニングを行った後の体を把握する
トレーニングによる体への影響には個人差が見られます。トレーニングを継続して行った方がより良いパフォーマンスを発揮できる選手がいる一方で、トレーニング後の体が重だるかったり、筋肉痛が改善するまでに時間がかかったりする選手がいます。できればこうしたトレーニング後の体の変化を自分自身であらかじめ把握しておくと良いでしょう。
文:西村 典子
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