トレーニング後の栄養効率を高めるビタミン
赤身肉にはビタミンB群も含まれる。ご飯や野菜とともにバランスの良い食事を心がけよう
トレーニング後に必要な栄養素といえば「タンパク質」がまず思い浮かびますが、傷ついた筋線維を修復するためにはタンパク質だけではなく、その修復をサポートするビタミンの存在が欠かせません。ビタミンは体を調整する機能として働き、タンパク質やエネルギー源となる糖質、脂質の栄養効率を高めることにも貢献します。それぞれがどのように働いているのかを理解しておきましょう。
●ビタミンには水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンがある
ビタミンには水に溶ける水溶性のビタミンと脂に溶ける脂溶性のビタミンがあります。タンパク質や糖質、脂質の栄養効率に関連する水溶性ビタミンは体内にためておくことがむずかしく、余った分は尿として排泄されてしまうため、食事ごとに必要量を摂取することが大切です。
●ビタミンB1と糖質
主なエネルギー源となる糖質(ご飯、パン、麺類など)を食べるときには、吸収や代謝を助けるビタミンB1も意識して摂るようにしましょう。車に例えると、エネルギー源は「ガソリン」として働き、ビタミンは車の動きを良くする「エンジンオイル」といったところでしょうか。ビタミンB1が不足した状態で糖質ばかりを摂ってしまうと、体内で使えるエネルギーに変換されにくく、体脂肪として体内にたまってしまうことになります。トレーニング後の栄養補給はタンパク質だけではなく、エネルギー源となる糖質もあわせてとる方が筋肉の合成により良い影響を与えますが、これにビタミンB群をプラスするようにすると、栄養面からトレーニング効果を後押しします。ビタミンB1を含む代表的な食材は豚肉、赤身肉、大豆製品、玄米、ナッツ類などがあります。
●ビタミンB2と脂質
糖質とともにエネルギー源として働く脂質を体内でエネルギーとして利用できるようにするには、ビタミンB1とともにビタミンB2が働きます。脂質を多く摂取したときはビタミンB2を含む食材を摂るようにすると、ビタミンB1を節約し、糖質を代謝させるために使うことができます。体脂肪をエネルギーとして利用するためにもビタミンB2を積極的に摂るようにしてみましょう。ビタミンB2を含む代表的な食材はうなぎ、カレイ、卵、納豆、牛乳、アーモンドなどがあります。
●ビタミンB6とタンパク質
トレーニング後にタンパク質をしっかり摂る選手は多いと思いますが、タンパク質を体内の組織として作りかえる時にはビタミンB6がその栄養効率を高めます。タンパク質を含む赤身肉、鶏肉、マグロ、カツオといった肉類、魚類や主食となるお米にも含まれるため、主食と主菜をしっかりとるようにすれば不足することは少ないと考えられます。ただし激しいトレーニングなどで筋線維が傷み、その修復過程でタンパク質をとる場合はビタミンB6を含む食材も意識して摂るようにすると良いでしょう。ビタミンB6を含む食材はこの他ににんにくやごま、バナナなどにも含まれます。普段から栄養バランスの良い食事を心がけ、体に必要なビタミンもあわせて摂るようにしましょう。
文:西村 典子
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