筋肉痛が出ないトレーニングは有効か
懸垂はブレーキング動作を伴うエクササイズの一つで筋肉痛が起こりやすい
ウエイトトレーニングを行っていると翌日以降に筋肉痛を起こすことがあります。トレーニングによって筋線維は損傷し、その修復過程で筋肉は太く強くなっていくため、「トレーニングした後は筋肉痛が起こるもの」と考えている選手も多いのではないでしょうか。一方でトレーニングを続けていくと翌日以降に筋肉痛が起こらないといったことも経験することでしょう。中には「筋肉痛が出ないと不安…」と強度を上げてしまい、ケガをしてしまうといったことも見られます。
●筋肉痛になりやすいケースとは
初めて行うエクササイズであったり、負荷を少し上げた状態でのトレーニングは筋肉痛が起こりやすいと考えられています。これは筋線維が傷つきやすく、炎症とともに筋肉が腫れて、熱っぽくなったり、力を入れると痛みを伴ったりという状態になるからです。また特に筋肉痛が起こりやすい動きとして「筋肉が伸ばされながら力を発揮する=ブレーキング動作」が挙げられます。たとえば懸垂で肘を曲げて体を引き寄せた状態から、重力に従ってゆっくりと肘が伸びていくときの動作や、坂道を下るときにブレーキをかけながら降りていく動作などがこれにあたります。伸張性収縮を伴う動作は筋線維が引き伸ばされて傷つきやすく、強い筋肉痛も起こりやすいと言われています。
●筋肉痛が起こらないケースとは
一方筋肉痛が起こらない、筋肉痛をさほど感じない場合はどのようなことが考えられるでしょうか。一つは筋肉がその動作に対して適応し、力のロスやバランスの崩れなどによって他の筋肉を刺激する程度が下がって目的とする筋肉を鍛えられている場合や、適切な負荷によるものが考えられます。またトレーニングそのものにある程度なれてくると、筋肉痛は起こりにくくなると言えるでしょう。トレーニング後の適切な栄養と休養も筋肉痛を軽減させる一つの要因です。ここから少しずつ負荷を上げていく、違った種目を取り入れるといったことを行うと筋肉痛が起こる可能性は高くなります。
「筋肉痛がないから効果がうすい」というものではなく、適切なトレーニングやトレーニングの習慣化は筋肉痛の程度が少なくなることがあります。トレーニング効果を検証するためには体重、体脂肪量を測定し、そこから除脂肪体重(体重-体脂肪量)の変化を見ることで筋肉量を推測することができます。定期的に自分の体を測定し、トレーニングによる筋肉量のアップが見られるかを確認するようにしましょう。
文:西村 典子
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