カフェインと睡眠
夕方以降のカフェインは睡眠の妨げになる可能性があるので注意しよう
皆さんの身近な飲みものや食べものにはカフェインを含むものが多く存在します。カフェインとはコーヒー豆、茶葉、カカオ豆などに含まれる食品成分の一つで、大量に摂取するとパフォーマンスによい影響をもたらしたり、気分を高揚させるような働きがあったりするため、以前はドーピングの禁止物質として扱われていました(2004年以降は禁止物質ではなく、監視物質としてアスリートの使用状況をチェックしています)。一般的には一日あたりカフェイン摂取の上限は成人で400mg(体重1kgあたり5.7mg、体重60kgの選手であれば約342mg)程度とされています。
食品に含まれるカフェイン量は商品により異なりますが、文部科学省が公表しているデータ※では
・インスタントコーヒー・・・80mg/1杯(顆粒2gを使用)
・コーヒー・・・60mg/100ml
・紅茶・・・30mg/100ml
・煎茶、ほうじ茶、ウーロン茶、ココア・・・20mg/100ml
・玄米茶、コーラ・・・10mg/100ml
とされています。
カフェインは神経伝達物質であるドーパミンを促し、脳を覚醒させて集中力や注意力を高めて、疲労を感じさせにくくなる作用が働くため、エナジードリンクなどにも多く含まれています。その一方で、カフェインの摂取は不安感を増大させたり、寝つきが悪くなったりといったことも見られます。カフェインを摂取してからその成分が半分程度に減少するまでに5~7時間程度かかると言われ、夕方以降のカフェイン摂取は睡眠を妨げる一因ともなります。また運動時などに摂取するとカフェインの持つ利尿作用によって、体が脱水症状を起こす心配もあります。
夕食にコーヒーやコーラなどを飲んでしまうと眠れなくなる人がいる一方で、あまり影響を受けない人もいます。これはカフェインの分解・代謝には個人差が見られるからです。なかなか寝つきが良くない、朝目覚めたときに熟睡した感じがしないという選手は、夕方以降にカフェインをたくさん摂っていないかチェックしてみてください。その上で夜の水分補給などはお水やカフェインを含まない麦茶などを上手に利用してみると良いでしょう。
※日本食品栄養成分表 2020(八訂)文部科学省
参考ページ)飲料のカフェイン含有量に関する調査 国民生活センター
文:西村 典子
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