寒いときはどうしても体が丸まって顔や肩などをはじめ、体全体に力が入りがちです。気がつけば歯を食いしばっていたり、首をすくめていたりといったこともあるでしょう。人間は外気温に左右されない恒温動物ですが、なんとか体の熱を奪われないようにと皮膚の血管が収縮して血流を減少させたり、筋肉が自分の意志とは関係なく収縮し、ふるえることによって熱を発生させたりして体温を保とうとしています。

 長時間の寒冷環境にさらされると、筋温や深部体温(体の内部温度)は次第に低下します。筋収縮による力発揮は低温になるほど反応速度が低下し、パフォーマンスにも影響を及ぼすようになります。また短期記憶や集中力の低下などもみられることがあるほか、血流の阻害によって末端部にある指先が冷たくなったり、しびれたりといったことも起こります。排尿の回数が増えるのにあまり汗をかかないため、知らない間に脱水状態におちいることもあります。

 熱中症対策の一つとして暑さになれる「暑熱馴化(しょねつじゅんか)」の重要性が指摘されていますが、寒い環境で運動を行うときにも「寒冷馴化(かんれいじゅんか)」といって寒い環境に体をなれさせる方法があります。普段過ごす部屋の暖房の設定を見直し、環境温度をやや低めにして、少しだけ薄着で過ごしすようにするものです。寒さになれてくると寒さに「鈍化」し、少しくらいの寒い環境ではふるえが起こらなかったり、皮膚の血管収縮が抑制されたりといったことが見られるようになります。このことにより皮膚表面の「断熱性」が高くなり、体温を保つ働きが強くなります。

 寒い環境下で運動を行うときは補食などで糖質をやや多めにとることを心がけましょう。保温のためにエネルギー消費が高まることに加えて、自分の意志とは関係なく起こる筋肉のふるえなどもエネルギーを消費するためです。脱水にならないための水分補給もあわせて行い、寒い環境の中でも良いパフォーマンスが発揮できるように準備しておくことが大切です。

文:西村 典子
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