腰痛は多くの選手を悩ますスポーツ傷害の一つです。ぎっくり腰のような急性腰痛症や腰椎の疲労骨折である腰椎分離症、椎間板が神経を圧迫して痛みを生じる椎椎間板ヘルニアなど、一度は聞いたことがあるかもしれません。一方で腰痛で病院を受診してもレントゲンなどに異常はなく、明らかな損傷部位が見つからないこともあります。こうした腰痛の大半は原因がはっきりしない「非特異的腰痛」と言われています。スポーツ選手の場合は体を酷使するため肉体的な疲労が蓄積しやすく、筋肉の柔軟性や関節可動域の改善、筋力強化などによって軽減するケースも多くみられます。

 ところが数ヶ月経っても腰痛が一向に改善しないこともあります。慢性腰痛症はさまざまなコンディショニングを行っていてもあまり腰痛が改善せず、長期にわたって悩まされている状態です。さまざなな検査を行っても大きな異常は見当たらず、選手にとっても不安や焦りが募るようになります。長引く腰痛は体のコンディションだけではなく、心理的なストレスとも関連しているといわれ、不安や焦りがより腰痛を長引かせるという悪循環におちいる危険性もあります。腰痛になると思うようなプレーができず「これができない」「あれができない」と否定的にとらえがちですが、「これはできた」というプラスの要因を認めることがストレス軽減にも役立ちます。

 また腰痛が悪化することをおそれ、危険を回避する行動をとる傾向が見られるようになります。その典型的な例の一つがコルセットを長期にわたって使用し続けることです。コルセットそのものは腰椎を安定させ、痛みの軽減につながることが多く、病院でも勧められることの多い装具の一つです。適切な使用は腰痛を軽減させますが、過度に「頼りすぎてしまう」と腰椎を支える腹圧の機能が低下し、コルセットを外すと怖くて動けない…といったことが起こってしまいます。これは腰に原因があるというよりも、脳の働きが行動に現れていると言えるでしょう。コルセットの役割を理解し、自分の体でコルセットの役割を担うために運動療法を行うようにすると、低下していた機能が改善し、腰痛の軽減につながることが期待できます。

 腰痛の要因は個人個人によって違うため、医師の指導のもとに腰痛改善につながるコンディショニングを行うことが大切です。また長引く腰痛は心理的な要因を含めて解決方法を探ることもあわせて行うようにしていきましょう。

文:西村 典子
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