クロストレーニングのメリットとは
ヨガを行ってじっくりと柔軟性改善に取り組む
オフシーズンに入ると体力向上を目的としてさまざまな練習を行うことと思います。この時期は野球とは違った専門種目以外のトレーニングやスポーツなどを行うこともあると思いますが、これを一般的にはクロストレーニングと呼びます。皆さんは野球とは別にウエイトを使ってトレーニングをすることがあると思いますが、こうしたウエイトトレーニングもクロストレーニングの一つです。クロストレーニングにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
●慢性的なスポーツ障害の予防
同じ競技を長く行っていると、使われる筋肉に偏りがうまれ、オーバーワーク(使いすぎ)による慢性的なスポーツ障害を起こしやすくなります。代表的なものが「野球肩」「野球肘」と呼ばれるような投球動作に伴うケガです。腰痛なども疲労が蓄積されたことによる慢性的なケガが大半を占めます。動作の反復によって専門的な動きは向上が期待できますが、その一方で筋力バランスや神経と筋肉との連動といった動きはどうしても偏りがうまれます。クロストレーニングは普段あまり使っていない部分を動かし、刺激をくわえることで、筋力バランスの改善をはかり、運動神経との連動を向上させる狙いがあります。
●フィットネスレベルの維持・向上
野球では十分に鍛えられない体力面を他のスポーツや運動に置き換えて維持・向上させることが期待できます。ウォームアップやクールダウンなど、技術練習に入る前に体の柔軟性をチェックし、ストレッチを行っていると思いますが、柔軟性や姿勢改善をメインに行うヨガやピラティスなどがその代表として挙げられます。ポーズによっては体を支える体幹の支持能力を養うことにもつながります。またスタミナ強化を狙って行うランニング(中・長距離)やスイミング、目と手の協調性や敏捷性を高めるために行うバドミントンやテニス、卓球など、さまざまなクロストレーニングが考えられるでしょう。
●心理的な休息、リフレッシュ効果
練習が惰性になってしまわないようなリフレッシュ効果も期待できます。日々の練習内容に偏りがないように指導者の皆さんは工夫をされているはずですが、反復練習が多くなるとどうしても「馴れて」しまったり、「飽きて」しまったりしがちです。その際にクロストレーニングを取り入れることで心理的な休息、気分転換や心身のリフレッシュにつながります。クロストレーニングを取り入れる際にはアクティブレスト(積極的休養)をメインとした日に行うようにしましょう。
文:西村 典子
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