私たちは自分の体を両足の足裏で支えています。スポーツ活動においては、歩く、走るといった基本動作に加えて跳躍する、踏ん張るといった働きをもち、体の重心位置を修正してバランスをとるといったことも行います。また地面からの反力を使って最大限のパワーを生み出すことや、地面からの情報を体に伝えるセンサーとしても機能します。

 特に踏ん張る力で重要になってくるのは足指の筋力です。手の握力と同じように、足指にも握る力がありますがこれを把持力(はじりょく)と言います。把持力は体を支えるために必要な筋力であり、一瞬で大きな力を発揮する瞬発力とも関連性があると考えられています。私たちは日常生活で靴や靴下をはいていることが多く、足指の動きをさほど意識しなくても問題なく過ごせますが、踏ん張る力を靴に頼っているために足指の把持力は弱くなりがちです。また地面と足指との間には靴(スパイク)や靴下が介在するため、スパイクの中で足が滑ってしまうと踏ん張りがきかなくなり、体のバランスが崩れてパフォーマンスにも影響を及ぼすと考えられます。

 裸足で競技を行う柔道や剣道の選手は足指を普段から強化していると言えるでしょう。直接地面と足裏が接地することで自然と足指を使って踏ん張ることが身についているからです。足指を使うには裸足で直接歩くことがもっとも手軽にできるトレーニングです。ただし地面の安全性を確かめた上で行わないと、足裏をケガをすることもありますので注意しましょう。この他には足指のグーパーを行うエクササイズやタオルをたぐり寄せるタオルギャザートレーニングも効果的です。足指のグーパーを行う際はギュッと力を込めて握る、大きく指をひろげるといったように足指の筋肉を意識して行うようにしましょう。タオルギャザートレーニングは何もない状態でできるようになったら、タオルの端に軽めのダンベルや500mlのペットボトル飲料などを置いて負荷を加えると足指の筋力強化に役立ちます。

 足指の把持力を鍛えることは野球のパフォーマンスにも役立つものです。今まであまり意識していなかったという人はぜひ足指の強化もあわせて行うようにしましょう。

文:西村 典子
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