野球のプレーやトレーニングをしている際に「膝が痛い」と感じたことはありませんか。その多くは筋肉の拘縮(こうしゅく)や張りなどによって膝付近に負担がかかることで痛みを感じます。もちろん機能解剖学的に靱帯や筋線維そのものを傷めていることでも起こります。また膝周辺に付着する筋肉の牽引力によって膝蓋骨が引っ張られて痛いということも考えられます。その中には病院でレントゲンを撮ったところ、膝蓋骨そのものが2つ、もしくはそれ以上に離開(りかい:開いて離れてしまっていること)しているケースがあります。

 膝蓋骨の一部が分離し、離開がみられるものを分裂膝蓋骨(二分膝蓋骨)といいます。特に膝蓋骨の上外側にみられることが多く、半数は無症状です。しかし痛みのあるものは有痛性(ゆうつうせい)分裂膝蓋骨といい特に激しいスポーツや運動中または運動後に膝関節痛を起こします。これは急に膝蓋骨が分裂してしまったというよりは幼少期から運動を続けてきた結果、骨が硬くなる前段階で筋肉に引っ張られて離開してしまったと考えられます。分裂膝蓋骨は男女ともにみられますが、痛みを訴えるものの多くは男性にみられます。

 運動中や運動後にジンジンとした痛みがある場合(炎症症状)はRICE処置を行い、しばらく練習量を減らしたり、安静を保ったりして様子を見るようにします。また太もも前面部にある大腿四頭筋は膝蓋骨に付着しているので、痛みのない範囲でこの筋肉のストレッチを行うことも効果が期待できます。ただしこのようなセルフケアやコンディショニング等を行っても改善しない場合や、分裂した部分の骨と母床(膝蓋骨の本体)との境目の部分に圧痛が続く場合には、手術によって分裂膝蓋骨を摘出することが必要となります。手術後はしばらくは激しい運動は控えるようにし、徐々にリハビリを行いながら競技復帰を目指します。およそ2~3ヶ月ぐらいが目安となるでしょう。

文:西村 典子
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