ヘッドフォン難聴に気をつけよう
イヤホンやヘッドフォンは大きな音量や長時間の使用を避けよう
スマートフォン(スマホ)は今や日常生活に欠かせないものとなりつつありますが、スマホの画面を見続けることによる目への影響はよく知られているところです。またスマホを使って動画を見たり、音楽を聞いたりということは皆さんでも行っているのではないでしょうか。さらにはオンライン授業などで日常的にイヤホンなどを使用している機会もあると思います。今回はイヤホンやヘッドフォンの使用などによって起こりやすい「音響性難聴(おんきょうせいなんちょう)」について考えてみましょう。
耳の中には有毛細胞という音を伝える役割を持つ細胞があるのですが、難聴はこの有毛細胞がダメージを受け、少しずつ損傷されることで起こります。少しずつ進行していくために初期段階では自覚しにくいものですが、傷んだ有毛細胞が音を伝えられなくなると、聴覚は失われていきます。
難聴には騒音性のものと、音響性のものがあります。騒音性難聴は工事現場での機械音や環境による大きな騒音によって起こります。一方、音響性難聴は、コンサートなどでの大音響や、イヤホンやヘッドフォンで大きな音を聞き続けることによって起こり、「ヘッドフォン難聴」と呼ばれることもあります。特に通勤や通学中の車内でイヤホンやヘッドフォンを使うときは、周囲がうるさかったり、電車の騒音などがあるために音量を上げてしまいがちです。こうした耳に直接装着するものは、空気を通すことで弱まる音の周波数が、直接耳に伝わってしまうことで、耳の中にある有毛細胞にダメージを与えます。
難聴へのリスクを避けるためには音漏れするほどの音量で聞かない、長時間連続して聞かない、定期的に耳を休ませるといった対策が有効です。世界保健機構(WHO)によると80デシベル(=地下鉄の車内、救急車のサイレン音に相当)で1週間当たり40時間以上、100デシベル(=電車の通るときのガード下の騒音に相当)以上の大音響では突発的に難聴が生じることもあります。
こうしたヘッドフォン難聴は特に若い人に多く見られる傾向があり、皆さんも日常生活を見直して耳に大きな刺激を与え続けていないかを振り返ってみましょう。重症化すると失われた聴力を回復することはむずかしいと言われています。耳への違和感を感じたら早めに医療機関を受診するようにしましょう。
文:西村 典子
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