短いダッシュで大きなパワーを生み出す
体勢を低く、前傾姿勢から地面の反力を使って力強く走ろう
トレーニングでは「期分け」といって試合時期やオフシーズンなど、その時期によって適切なトレーニングプログラムが存在しますが、ランニングについてもチームのスケジュール、時期にあわせたランニングプログラムを実施することが理想的です。大ざっぱに言ってしまうと、オフシーズンは体力レベルを上げる時期なので、中距離(場合によっては長距離)走を中心にスタミナをつけるランニングとなり、公式試合が近づくにつれて距離を短くして一瞬で大きな力(パワー=力×スピード)を出すようなランニングに移行します。
短いダッシュは選手からしても距離が短く、かかる時間も短いため、中距離や長距離に比べると負担が少ないと思うかもしれません。気持ち的には「ラク」かもしれませんが、体にかかる負担は決して楽なものではなく、走る前に入念にウォームアップを行うなどの準備をしていないとケガをしてしまうリスクの高いものです。短いダッシュは一瞬で大きな力を発揮して走ることが求められるため、足の着地場所が少し前方になっただけでも肉離れなどのケガを起こすことがあります。
また短いダッシュを数多く行うと、だんだん雑な動きになってしまったり、疲労が蓄積して大きなパワーを出せなくなったりします。そうなると短いダッシュの目的となる一瞬で大きな力を発揮することがむずかしくなり、結果的に疲労だけがたまってしまうということにもなります。
このようなことを考慮すると試合時期の短いダッシュは、なるべく疲労が蓄積していない練習の始め頃に行うとか、技術練習とランニングの間にしっかりと休憩とウォームアップの時間を取るようにするといった工夫が必要になってきます。どうしても練習の終わり頃に行うのであれば、選手の疲労具合をしっかりチェックしながら距離や本数を設定することが大切になってきます。
短ダッシュは身体的なストレスも大きいため、クールダウンやセルフコンディショニングを実施しながらその日の疲労を翌日にまで残さないようにしましょう。
文:西村 典子
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