デッドボールとコールドスプレー
デッドボールや自打球で登場するコールドスプレーはあくまでも一時的なもの。痛みが続く場合はRICE処置を行おう
野球に限らずスポーツには突然アクシデントが起こることがあります。野球は未然に防げるケガの多いスポーツですが、それでもアクシデントによるケガは防ぐことがむずかしいものです。その代表的なものが打席でのデッドボールや自打球などです。
ボールが体に当たったとき、他の選手やコーチがコールドスプレーをかけて対応しているシーンをよく見かけます。コールドスプレーは一瞬にして皮膚表面を冷却し、当たったときの衝撃や痛みに対する刺激を、表面を冷やすことで「冷たい」という感覚に置き換えることができるためです。しかしコールドスプレーはあくまでも表面的なものであり、本来は打撲や突発的に起こったケガに対してアイシングを含めたRICE処置が不可欠です。プレーを続行するために一時的に痛みの感覚を和らげる、鈍麻させるというのがコールドスプレーの役割です。
最近のプロ野球では選手が打席でデッドボールを受けたり、突然アクシデントが起こったときにトレーナーがすぐさま駆け寄りますが、コールドスプレーで対応しているシーンを見かけることはほとんどなくなりました(そもそも携帯していないかもしれない)。応急手当が必要なときは一度ベンチに戻って対応するということを行っています。
実際にボールが体に当たると程度の差こそあれ、痛みを伴うことが多いと思います。そのままプレーを続行していてもどんどん痛みが増してくるようであれば、プレーを中止し、応急手当を優先させるようにしましょう。単なる打撲と思っていても実は骨折していたというケースも少なくありません。骨折に至るほどの大きな衝撃が体に加わった状態では、コールドスプレーの冷却は単なる気休め程度にしかならず、RICE処置を行いながらすぐに医療機関を受診する必要があります。
コールドスプレーではケガに対する炎症症状を抑えるほどの冷却力はありませんので、あくまでも痛みに対する置き換えとしての応急手当ととらえ、RICE処置を行い、状況によっては早めに医療機関を受診するように心がけましょう。
文:西村 典子
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