投球動作は地面の力を受けて下半身から上半身へと力を伝達し、最終的には手の指からボールへと力を伝える運動連鎖によって成り立っています。大きなパワーを生み出すためには下半身、体幹、上半身とそれぞれにおいて筋力や柔軟性などの体力面を強化することはもちろんですが、最終段階でボールに力を伝える指先もボールを保持するための筋力や、力の伝達に欠かせない柔軟性を高めることが大切です。

 手や指は大きな力を発揮する部位ではありませんが、細かな動きができるように多くの神経があり、細かい筋肉が多く存在します。まずは手のひらや手の甲の部分を丁寧にほぐすようにしていきましょう。指と指の間や指の付け根部分などを中心に硬くなっているところを反対側の手を使ってほぐすようにします。その後に指を一本一本丁寧にストレッチしていきましょう。手のひらを前面に出して屈筋群を伸ばし、今度は手の甲を前面にして伸筋群をストレッチしていきます。

 また指の関節一つ一つの動きについても他動的に軽く動かしていくようにすると、指の動きがスムーズになり関節可動域(関節の動く範囲)が拡がりやすくなります。特に投手はこうした指の関節可動域をより良くするとボールにかかる力が大きくなり、特に変化球の回転に変化が見られるケースもあります。ピッチングの前後などにもこうしたストレッチを取り入れて、ボールの軌道などを確認してみるとよいでしょう。

 指のストレッチをするときに気をつけることとしては、過度に力を入れすぎて指を痛めないようにすることと、指の感覚が変化することがあるので練習の時に何度か試してみること。試合前に初めて指先のストレッチをすると、変化球の曲がり方がいつもと違ってしまい、コントロールに苦労するケースもあります。まずは練習の中で指先のストレッチを習慣にし、その感覚を身につけた上で試合時にも行うようにすると良いでしょう。

文:西村 典子
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