突き指のメカニズムと予防法

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2020.10.13

手首の背屈が不十分だとボールがまっすぐ指に当たるリスクが高くなる

 突き指は野球選手にとってよく見られるケガの一つで、指に硬いものが当たって外力が加わり、軟部組織などが損傷します。突き指という言葉は指を突いた状態を指すため、ケガの程度は軽いものから重度のものまでさまざま考えられます。指に対してまっすぐに力が加わると(長軸方向への外力)、爪や指の先端部分にある骨(末節骨)などが大きな影響を受けやすく、それに伴ってその手前にある骨(中節骨)などにも影響が及ぶことがあります。また骨に異常がなくても骨と骨をつなぐ靭帯や腱などが傷んでしまうと、関節がグラグラと不安定な状態となったり、脱臼を伴ったりすることがあります。突き指をした時は、まず患部を氷などで冷やして応急処置を行い、腫れの程度や痛みがひどい場合、指の変形、音を伴ったような激しい外力が加わった場合はなるべく早く整形外科等を受診するようにしましょう。

 突き指は一般的にアクシデントによって起こるスポーツ外傷とされていますが、捕球体勢などを見直し、突き指を避ける動作を行うことも大切です。守備機会でゴロを捕球する時に、投球側の手首を立てて(手首の背屈)、ボールに対して横から添える状態であれば、ある程度防ぐことも出来ますが、手首が打球に対して並行に近い状態になればなるほど、指先がボールにぶつかってしまうリスクは高くなります(長軸方向への外力)。また補給体勢が高い、いわゆる腰が高い状態だと目線も上方に上がってしまうため、イレギュラーなどへの対応が遅れて結果的に突き指してしまうことも考えられます。

 以前は突き指をすると引っ張って元に戻すような対応が正しいと考える人も少なくありませんでしたが、指を引っ張ってしまうと傷めた部位(関節や靱帯、筋肉、腱、骨など)にさらに牽引ストレスが加わってより悪化してしまうことになるため、このような対応は避けてまずRICE処置を行いましょう。突き指をした部位を固定する時はボールペンや割り箸などある程度硬さがあるものを副木代わりにして一緒に固定します。こういったものがない場合は隣の指と一緒に二本まとめて固定すると良いでしょう。

 突き指は頻繁に見られるケガの一つですが、その程度は軽度のものから重症度の高いものまでさまざまです。適切な初期対応を行い、状態を見ながら必要に応じて医療機関を受診するようにしましょう。

文:西村 典子
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