野球選手によく見られるケガの一つに手首痛があります。手首痛といってもいろいろありますが、野球選手に多いものは手首の捻挫(ひねったり、くじいたりして起こる痛み)であったり、手を突いたことによってみられる手関節痛(関節内に炎症がみられる状態)やTFCC(三角軟骨線維体)などに代表されるような軟骨部分の損傷、手首を繰り返し使うことによって腱が存在する部分にある腱鞘(けんしょう)が炎症を起こしている腱鞘炎、何らかの衝撃によって手根骨の一つである有鉤骨を痛めたり、亀裂骨折したりしているケースなどさまざまです。

 手首のケガが回復しにくいと言われている原因の一つに血流の乏しさがあります。太ももや肩周辺部などに比べると手首は体の末端に位置するため、血流が乏しく、組織損傷時に必要な酸素や栄養素などが十分に届きにくいといったことが考えられます。さらには野球だけではなく日常的にも手首を使う場面が多いため、患部を安静に保つことがむずかしく、痛みのある動作を繰り返し行ってしまうことによって、いつまでたっても患部に炎症が残ってしまうケースも少なくありません。

 痛みのあるときは他のケガと同様に応急手当としてのRICE処置を行い、医療機関を受診して原因をさぐり、リハビリテーションや競技復帰のめどについて相談をすることが大切です。

 手首に多少不安があるものの、試合に出場する場合はテーピングで患部をある程度固定すると痛みが軽減することが期待できます。特定の方向に手首を動かすと痛む場合は、その動きを制限するようなテーピングを行うとよいでしょう。例えばTFCC損傷であれば小指側に手首を動かす(尺屈)と痛みが強くなることが多いため、尺屈を制限するようなテーピングです。

 動きの制限がむずかしい場合は手首を固定することでもテーピングの効果が期待できます。この時は手首だけではなく手の甲部分にも少しテープがかかるようにして手首周辺を一周させると手首が固定されて安定します。セルフで行う場合、使用するテープは伸縮性のあるタイプを推奨しますが、もし非伸縮のホワイトテープを使う場合は、一周ずつテープをカットして手関節部分を圧迫しすぎないように配慮しましょう。

 プレー後に痛みが残る場合は氷で患部をしっかりと冷やし、その後お風呂などでは血流をよくするように前腕部分などを軽くほぐすように心がけましょう。

文:西村 典子
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