ふくらはぎのけいれんに自分で対処する
ふくらはぎがけいれんしたときはまず膝を伸ばしてみよう
皆さんは夜中に足がつった経験はないでしょうか。足のつり=筋肉のけいれん、は暑い時期に起こる筋けいれん(試合中などによく見かける)と同じメカニズムで起こります。試合中に起こるものは脱水状態や、ミネラル分の不足、エネルギー源の不足や極度の疲労などさまざまな原因が考えられますが、夜中に足がつることもまた同じような原因が考えられます。さらに布団から足が出ていたり、そもそも半ズボンの状態で筋肉が冷えてしまったりしても起こることがあります。
脳はある筋肉(主動筋:しゅどうきん)に「収縮」の指令を出すと、反対側の筋肉(拮抗筋:きっこうきん)には「収縮しないように」指令を出し、神経を介してコントロールしています。ふくらはぎの筋肉も同様に例えばすねの前側の部分が収縮すると、すねの後側にあるふくらはぎの筋肉は収縮しないように、ゆるむように制御されています。これが通常の状態ですが、脱水を始めとする体のさまざまな状態によっては、脳から神経を介して筋肉へと指令が伝わるところに「誤作動」が生じてしまい、収縮しなくていい場面で突如としてれん縮(こまかく収縮すること)を起こすことがあります。これが筋肉のつり、けいれんです。
このような状態が起こったときにはあせらず自分で対処することができます。まずは大きく息を吐きながら膝を伸ばしてみましょう。ふくらはぎにある腓腹筋は膝関節と足関節にまたがる二関節筋です。曲がった膝を伸ばすことだけでも腓腹筋が伸びます。そこからさらに足の指を自分の方に向けてさらにふくらはぎを伸ばしていきます(足首の背屈)。こうするとすねの前側の筋肉(前脛骨筋:ぜんけいこつきん)が収縮するので、脳はふくらはぎの筋肉をゆるませようと働き、やがて腓腹筋やヒラメ筋が弛緩して筋肉のけいれんが収まってくるということになります。
試合時などでも足がつった際の応急対応として覚えておくといいですね。この時はもし可能であれば足を固定しているスパイクを脱いだ上で行うことがいいのですが、脱ぐことがむずかしい場合は「息を吐きながら膝を伸ばす」ということを実践してみましょう。
文:西村 典子
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