トレーニングと体の適応

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2020.09.22

トレーニングは使っていない筋肉を働かせることから始まる

 トレーニングを続けると野球のパフォーマンスが向上することは何となく理解していても、どうしても長続きしなかったり、そもそもトレーニングをする機会がオフシーズンのみだったりといったチームもあるでしょう。トレーニングは一日行ったからといって翌日すぐにその成果が現れるようなものではなく、ある程度時間がかかるため、さらに続けるのがむずかしいという側面もあります。トレーニングをすると体はどのような変化をするのかを簡潔にまとめてみます。

 トレーニングには「強度」「プログラムデザイン(野球にあったトレーニング内容かどうか)」「筋線維を回復させるために必要な休養や栄養」などが関係します。筋肉を太くしたいというトレーニングと、筋力をつけたいというトレーニングは厳密にいうと違ったプログラムになりますが、専門的な指導を受けていない、もしくはトレーニングを始めて日が浅い場合(新入生など)は、ある程度の負荷をかけてトレーニングを行うと、学習効果によって効率的な筋力発揮をするようになり、筋肥大や筋力強化が見られるようになります。

 また筋肉は脳からの指令によって収縮しますが、もともと鍛えていない筋線維は神経からの指令に対して反応が小さかったり、筋線維への指令そのものが少なかったりします。1つの運動神経とそれが支配する筋線維の集団をまとめて「運動単位」と呼びますが、トレーニングを続けると支配される筋線維の数が増えたり、動員できる運動単位が増えたりして、結果的に筋力がアップするということが起こります。今まで使っていなかった筋肉を使うというイメージです。このような運動に対する学習がある程度完成したところから、筋線維が太くなり、筋肥大が起こって「筋肉がついた」と目に見えるような変化が現れます。

 運動学習が完成するまでにはもちろん個人差がありますが、およそ1ヶ月程度といわれています。1ヶ月程度続けてみると目には見えないけれども、筋力アップを実感するようになり、さらにトレーニングを続けると体の変化が見られるようになります。トレーニングによる効果は目に見えないところで着実に積み上がっていることを理解し、コツコツと続けて行っていくとやがてパフォーマンスにも変化が見られることを覚えておきましょう。

文:西村 典子
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