移動の疲労を軽減させるひと工夫
狭い車内での移動中でもできること、準備しておきたいものなどを確認しておこう
本格的な野球シーズンが始まると、対戦校との練習試合や公式戦などホームグランド以外で野球をする機会が増えてくると思います。チームによっては遠征先までバスや車などで移動する機会も多いのではないでしょうか。長時間にわたってバスで移動する場合、同じ姿勢を強いられることによって腰が痛くなったり、体の大きい選手などは特に座席スペースが小さくて足が十分に伸ばせなかったりといったことも考えられます。中には乗り物酔いを起こしやすい選手もいるかもしれません。
こうした移動中のコンディション不良を避けるためには、なるべく移動時間に余裕をもたせ、適度な休憩とって体を動かすことがあげられます。座りっぱなしで過ごすのではなく1時間に一度は立ち上がることが理想的ですが、それがむずかしい場合は座った状態で片膝を抱えてお尻のストレッチを行ったり、その場でかかと上げを行ってふくらはぎの筋肉を動かしたりしてみましょう。足首を回すこともオススメです。さらに座った姿勢が長く続くと次第に骨盤が後傾し、腰背部に負担がかかりやすくなります(足を投げ出したような状態)。座席に骨盤を安定させるようなクッションを置いたり、フットレストのような足置きを使って、膝の位置を少し上げるようにしたりすると座った姿勢が崩れにくくなります。
目的地についたら、ウォームアップに入る前にまずは周囲を歩きながら軽くストレッチを行うようにしましょう。動かないことでかたまってしまった筋肉をほぐすようにします。特にもともと腰痛に悩まされている選手は、座って移動することそのものがストレスとなっていることもあると思います。あわててウォームアップに入るのではなく、少し時間に余裕を持たせて体の準備をしていきましょう。特に腰背部、お尻、下肢が中心となりますが、肩周りや首周りが気になるという選手はその部分もあわせて行うようにします。
乗り物酔いは、一般的には平衡機能が発達しはじめる小学生くらいから中学生くらいまでが一番多いといわれますが、高校生や大人になっても乗り物に酔いやすい傾向の人はいます。長時間の移動が不安な選手は、あらかじめミント系の飴やタブレットを準備しておき、必要に応じてなめるようにするとよいでしょう。ミントの香りには、胃の筋肉をリラックスさせ、むかつきや吐き気を抑える効果があるといわれています。また揺れる車内でスマホなどに夢中になっていると余計に悪化しやすいため、なるべく遠くの景色を見て過ごすことを心がけましょう。
文:西村 典子
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