反復練習と疲労骨折

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2019.11.29

練習量と疲労回復のバランスに気をつけて、疲労骨折を防ごう

 本格的なオフシーズンに突入すると、練習内容が実践的なものから基本練習の繰り返しになることが多くなります。正しいフォームを身につけるため、基礎体力をつけるための「投げこみ」「振りこみ」「走りこみ」といった練習量を重視するものは、特定の部位に大きな負担がかかりやすく、体の回復具合とのバランスを考慮しながら慎重に進めていく必要があります。

 野球は繰り返し動作によって起こる慢性的なスポーツ障害が発生しやすいことが知られています。いわゆる「野球肘」「野球肩」といわれるものは主に筋や腱などに大きなストレスがかかって起こるものですが、骨に物理的ストレス(=衝撃)が繰り返しかかることによって起こりやすいのが疲労骨折です。

 疲労骨折は「疲れた」という体の疲労そのものが原因になるわけではなく、繰り返し動作を続けることで少しずつ骨に衝撃が加わり、痛みとなって発症するものです。針金を繰り返し同じところで折り曲げていると、その部分で針金が折れてしまうように、疲労骨折は「金属疲労」という言葉に由来しています。

 疲労骨折の厄介なところは多少の痛みがあってもプレーを継続することができることです。特に下肢への負担が大きくなるランニング動作やジャンプ動作は、たわみをもつ脛骨(けいこつ=すねの骨)や中足骨(ちゅうそっこつ=足の甲の骨)などに衝撃がかかりやすく、骨に微細損傷をもたらします。この状態でも痛みを感じるはずなのですが、我慢してプレーを続けているとやがて骨にヒビが入り、完全骨折へと移行します。

 疲労骨折は脛骨、中足骨以外にも腓骨(ひこつ=すねの骨)、肋骨(ろっこつ)、大腿骨、骨盤、膝蓋骨(しつがいこつ=膝のお皿の部分)など、体重を支える部位を中心に起こります。腰椎分離症といわれる腰のケガも腰椎の疲労骨折によって起こるものです。

 疲労骨折に見られる主な症状としては運動痛と圧痛(患部を押すと痛みを感じる)があり、痛みの部分が少し腫れたり、ポコッと隆起したりといったことも見られる場合があります。この段階では運動をやめると痛みはおさまってしまうため、ついつい我慢してプレーをしてしまいがちです。

 しかし痛みが変わらない、次第に痛みの度合いが強くなる、運動後に痛みが強くなるといった兆候が見られた場合には運動を中止して、医療機関を受診するようにしましょう。疲労骨折は放置しておくと、競技復帰までに時間がかかってしまうスポーツ傷害です。気合いや根性で乗り越えられるものではありませんので、体力レベルにあった練習量と疲労回復にかかる時間を考慮し、疲労骨折を防ぐように心がけましょう。

 

文:西村 典子
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