野球に必要な動体視力を鍛える

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2019.11.19

動体視力を鍛えることは、目からの情報処理能力を高めることにつながる

 野球に限らず多くのスポーツは、まず眼から得られた情報をもとにして、どんなプレーをするのか判断し、脳からの指令によって体を動かしています。人間が得る情報のおよそ80%が視覚に由来するともいわれており、スポーツ選手には「止まっているものを見る能力=静止視力」だけではなく「動いているものを見る能力=動体視力」もあわせて必要となってきます。

 近年研究が盛んになっているスポーツビジョンには8つの視覚能力があるとされています。アメリカ検眼協会(AOA)がまとめた競技種目別視機能重要度スコア表によると、野球では投げることと打つことでそれぞれに必要な視覚能力に違いが見られますが、広い視野を確保する周辺視野をはじめとする動体視力を必要とすることがわかります(表1)。守備時はボールを注視しながらも相手ランナーの動きをみたり、投手の投げるボールのコースを見極めて守備位置を変えたりするといった広い視野が求められます。

 こうしたスポーツに必要な動体視力にはさまざまなトレーニング方法があります。手軽に取り組めるものとしては乗り物に乗っているときに外の景色を見ながらさまざまな情報を得る方法です。電車の窓から外の看板や駅名などを瞬時に見て認識するトレーニングは、横方向の動きを目で識別する能力を養う代表的なビジョントレーニングです。看板や駅名などは動かないものですが、これが例えば対向電車の情報(行き先や車両ナンバー、中にいる人の動きなど)となると双方が動いた状態になるため、難易度が上がります。また車の移動中に対向車のナンバープレートを瞬時に読み取るトレーニングは、遠方から接近する指標にピントを合わせる能力を養います。

 この他にも自分の手指を使ってできるトレーニング方法もあります。両方の親指を立て、顔を動かさずに爪の先を交互に目で追います。親指を左右や上下、斜め方向などさまざまな位置に配置したり、指の間の距離を長くしたり短くしたりすることで、素早く眼球を動かし、視線を切り替える能力である眼球運動を鍛えることが出来ます。バッティングの前に眼球を動かしてピント調節機能を高めると、ミート力の向上も期待できます。動体視力を養うことは距離感を正しく認識する周辺視野や、目と体の連動性を高める能力を高めることにもつながるので、練習の合間などにぜひ取り組んでみましょう。

 

文:西村 典子
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