エネルギー不足になっていませんか?
高校野球選手の体を維持するためには多くのエネルギーが必要となることを理解しよう
毎日の食事は生命を維持するという目的とともに、アスリートにとっては体づくりに大きく貢献します。皆さんも練習やトレーニング後に筋肉のもととなるタンパク質をより多く摂っていたり、中にはプロテインを準備していたりするかもしれませんが、体を維持し、動くためのエネルギー量は確保出来ているでしょうか。成長段階にある皆さんがより野球が上手くなり、ケガを防ぐためにはエネルギー量が必要となってきます。これを大きく3つに分けて考えてみましょう。
1)体を維持するためのエネルギー
私たちは寝ている間にも心臓をはじめとする臓器を動かし、体温を保つためにエネルギーを必要とします。何もしない状態でも必要なエネルギーを基礎代謝と呼びます。基礎代謝は計算式によって参考数値を算出することが可能です。15〜17歳の基礎代謝基準値(係数)は27.0、18〜29歳は24.0です。これに自分の体重をかけたものがおよその基礎代謝量になります。15歳で60kgの選手であれば、27.0×60=約1620kcalとなります。
2)練習など体を動かすためのエネルギー
1日に必要なエネルギー量は「基礎代謝量×身体活動レベル」で計算することができます。身体活動レベルは3段階に分けられますが、アスリートなど日頃からスポーツをしている場合は「身体活動レベルⅢ」に分類されます。15〜17歳の係数は1.95、18〜29歳は2.00ですので、計算式に当てはめてみると1620×1.95=約3160kcalが1日に必要なエネルギー量となります。
3)体重を増やすために必要なエネルギー
現状の体重維持ではなく、体を大きくしたいと考える場合はさらにエネルギー量が必要となります。体重を1kg増やすために必要なエネルギー量はおよそ7000kcalです。1ヶ月かけて体重を1kg増やす場合、1日に必要なエネルギー量は233kcalとなり、3160+233=3393kcalが最低でも必要となってきます。1ヶ月に体重を2kg増やす計画を立てると3626kcalとなります。
これらのエネルギー量を食事で確保出来ているかぜひ計算してみてください。「なかなか体重が増えない…」という選手の多くは必要なエネルギー量が足りていないことも多い印象があります。タンパク質の確保はもちろん大切ですが、糖質:脂質:タンパク質の割合は「6:3:1」を目安とし、特に主なエネルギー源である糖質などもしっかりとれているかどうかを振り返ってみましょう。
文:西村 典子
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