湿布とアイシングの違い
冷湿布と氷などで冷やすRICE処置は違うことを理解しよう
ケガをしたときは患部の炎症をとるために、RICE処置を行うことを第一選択肢として行うケースも増えてきました。特に突然ケガをした場合などはまず氷を準備して患部を冷やすことも多いと思います。
ところがこれが自宅に帰ってみると冷たい湿布を患部に貼って「アイシング代わり」にしている選手も少なくありません。「アイシング」と「冷湿布」はともに皮膚が冷たくなる感覚がするため、同じ効果を期待しがちですが、患部の組織を冷やして炎症を抑えようとするためにはやはりアイシングを行うほうがより冷却効果が望めます。たとえば缶ジュースを冷やすときに、缶の表面に冷湿布を貼ってもジュースそのものが冷たくなることは考えにくいですよね?より深部まで患部を冷却するためには氷や氷水を使ったRICE処置がより適しているといえます。
RICE処置では患部付近の血管を収縮させて炎症症状(痛みや腫れ、内出血など)を抑え、同時に傷ついていない他の細胞を保護する目的もあります。さらに皮膚から脳へと伝達される感覚は「冷たい」と「痛い」を同時に伝えられないため、冷たさをより強く感じると一時的に痛みは感じにくくなります。また痛みを感じていると患部付近の筋肉はどうしても緊張し、こわばってしまいがちですが、痛みを感じなければ筋肉の緊張は和らぐので必要以上に筋肉がかたくなってしまうことも防ぐことができると考えられます。
冷湿布は皮膚から吸収される消炎鎮痛剤(炎症を抑えて痛みをやわらげる効果をねらったもの)やメンソールなど冷たく感じる成分が含まれており、ドラッグストアなどで手軽に購入できるため、捻挫や打撲などに使いやすいと思います。薬剤師さんや病院で処方してもらった場合には医師にしっかりと説明を受けた上で、アイシングと上手に使い分けるようにしましょう。
文:西村 典子
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